22年の出生数速報が初の80万人割れ、物流の基盤維持に黄信号★続報

22年の出生数速報が初の80万人割れ、物流の基盤維持に黄信号★続報

厚労省調査、政府試算より11年早く実現

厚生労働省が2月28日公表した人口動態統計(速報値)によると、2022年の出生数は前年比5.1%減の79万9728人にとどまった。

80万人を割り込んだのは、データが存在し統計数値の比較が可能な1899年以降で初めて。7年連続で前年実績を下回り、前年からの減少の割合は21年の3.4%を上回った。

単月で見ても、昨年12月の出生数は6.8%減の6万4156人。4カ月連続で減少のペースが加速している。少子化が好転する兆しは見えてこない。

物流業界にとっては、現場を支える働き手の減少と、物流サービスの需要減少というダブルパンチとなり、持続可能性に黄信号が灯っている。今後も出生数が大きく増えることは見込みにくく、業務効率化を図るDXがますます待ったなしの状況となりそうだ。

厚労省系機関の国立社会保障・人口問題研究所が2017年に出した試算では、一定の人口における出生数の割合を指す「出生率」と、死亡数の割合を示す「死亡率」がいずれも予想したペースの中で真ん中となる「中位」で推移したと仮定した場合、80万人台を下回るのは2033年と見込んでいた。政府の予想を大幅に上回るスピードで少子化が進んでいる。

背景として、新型コロナウイルス感染拡大で結婚や出産を控える動きが出たことが影響したとみられる。速報値では22年の婚姻件数は51万9823組で3年ぶりに前年から増えたものの、増加幅は1.1%にとどまっている。

年間出生数のピークは終戦直後の第1次ベビーブームだった1949年の約269万7000人。そこから70年余りが経過し、3分の1以下の水準まで落ち込んだ。

総務省の人口推計によると、企業の生産活動の中核となる15~64歳の生産年齢人口は1995年の8726万人をピークに減少の一途をたどり、21年には7450万人まで落ち込んだ。四半世紀で15%減った計算だ。物流という社会インフラを維持していく上で、極めて厳しい状況が先行きに待ち受けていることはあらためて覚悟する必要がある。

(藤原秀行)

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