年間50万~60万円のコスト削減、安全性も担保
工場や店舗などの現場作業効率化とペーパーレス化をノーコードで実現できるソフトウエア「カミナシ」を展開しているスタートアップのカミナシは5月23日、医薬品・医療機器卸の中北薬品傘下で医薬品配送を手掛けるグリーンサービス(名古屋市)が「カミナシ」を導入したと発表した。
(カミナシ提供)
グリーンサービスは東海地方を中心とした5県で尊厳性の高い医薬品の配送を担っている。地域に根づいた配送事業者の特性を生かし、自治体と連携した災害対策や見守り支援のほか、医薬品ドローン配送の実証実験などの最新技術を用いた取り組みも積極的に展開している。
昨今、医療業界全体でDXが進み始めたことや中北薬品からDX方針が掲げられたことを契機として、グリーンサービスもDXへの第一歩として、車両の日常点検で使用する帳票のペーパーレス化を始めることを決定。ペーパーレス化の実現や正確な記録を行うことで車両の安全性を担保するため、「カミナシ」採用に踏み切った。
グリーンサービスは5県で18カ所の営業所を展開。これまで各営業所が所有する車両の日常点検や3カ月に一度の定期点検は紙の帳票を使っており、ドライバーが記入した後は各営業所の所長が承認作業から保管作業まで担っていた。
「カミナシ」導入後は全営業所で車両点検の帳票完全ペーパーレス化を達成。用紙代として年間50万~60万円のコストを減らせたほか、営業所長の承認・帳票保管作業などの業務を削減することに成功した。
また、複数の拠点を持つグリーンサービスはこれまで紙の帳票を用いて日常点検の記録を行っていたため、本社が営業所ごとの点検状況を把握するには紙の点検表を回収する必要があり、点検漏れのリスクがあった上、車両のわずかな不備や故障の予兆を見つけにくかった。
「カミナシ」を取り入れたことで、管理画面で一覧表示する全営業所の点検状況がリアルタイムでつかめるようになり、点検漏れがあった場合もすぐに営業所へ確認することが可能なため、点検漏れの件数が減少。これまでの点検作業は紙にチェックマークをつけるだけだったが、「カミナシ」は項目ごとに点検内容をタブレットで撮影できるようにした。
タイヤのすり減りや扉の閉まり、ブレーキランプなどの細かい不具合も報告が上がるようになり、定期点検時以外でも整備対応が行われ、車両の安全性がより担保されるようになったという。
今後は教育面の取り組みとして、医薬品の適正流通に関するGDP認証のeラーニングも「カミナシ」で実施する構想を進めている。これまでは運行管理者が直接ドライバーに説明・教育する機会を設けていたが、「カミナシ」上で学べるようにして、効率かつ効果的な教育に移行していきたい考え。
(藤原秀行)