【現地取材・独自】重量物積載可能なドローンが続々お目見え、物流や搬送への投入想定

【現地取材・独自】重量物積載可能なドローンが続々お目見え、物流や搬送への投入想定

「JapanDrone2024」、注目度の高まり予感

ドローンに関する国内随一の大型展示会「Japan Drone2024」と、「空飛ぶクルマ」などを紹介する「次世代エアモビリティEXPO2024」が6月5~7日の3日間、千葉市の幕張メッセで開かれている。

既に利用が広がっているインフラ点検や空撮などの領域に加え、難度が高い物流や搬送に関しても、重量物を積載可能な機体が複数お披露目されている。特にドローン物流の実用化には収益を上げられるビジネスモデルの確立など課題がまだまだ山積しているものの、深刻なトラックドライバー不足を受け、輸配送効率化の手段としてドローンの注目度が高まっていくことを予感させた。

出展している事業者は「物流や搬送については実証実験から『実用化』の時代に入っている」と訴えている。


会場の様子

最大積載80kgのタイプも登場

日本ドローン搬送協会(JDTA)は古河電工グループの古河産業、ドローンメーカーのドローンWORKシステムの2社と連携し、ペイロード(最大積載重量)が77kqと国内最大級のドローン「EAGLE77」、ペイロードが49kgで国土交通省から第二種型式認証を取得した「DroneWorkSystem式EGL49J-R1」を展示。山岳部の送電線設置工事など屋外で重量物を安定して搬送できる点をアピールしている。

JDTAは様々な分野での搬送ドローンの需要に応えた市場創造を活動目的としており、人手不足などで重量物搬送ドローンの需要が見込めると期待している。物流よりも狭いエリアでの活動が想定されるものの、人間の作業負荷を大きく減らせると見込まれるドローン搬送が日常的に行われるようになれば、ドローン物流普及にとってもプラスとなりそうだ。


「EAGLE77」(上)と「DroneWorkSystem式EGL49J-R1」

セキドは中国の世界的なドローンメーカーDJIの最新物流用ドローン「DJI FLYCART 30(フライカート 30)」を出展した。セキドがDJIの正規販売代理店を務めている。FLYCART 30はペイロードが30kgで、その巨大で頑丈な機体が来場者の注目を集めている。


「FLYCART 30」

台湾の新楽飛無人機股彬有限公司(7A Drones)は、ペイロードが80kgとうたう重量物搬送用ドローンを発表。カーボンファイバーとアルミ鋼管を採用した堅牢な構造などを強調している。


7A Dronesの重量物搬送用ドローン

イームズロボティクスは第二種型式認証を取得したペイロード6kgの物流用ドローン「E6150TC」を展示している。今年3月に福島県で外食大手ゼンショーホールディングスとドローン物流の実証実験を行い、「すき家」の牛丼を空輸した事例などを紹介、無人地帯上空の「レベル3」や「レベル3.5」の飛行に対応している点をアピールしている。


イームズロボティクスの物流用ドローン

大分のciRobotics(シーアイロボティクス)は電動ウィンチを内蔵し、物資を吊り下ろしできるペイロード20kgの「TR-22」を発表。荷物が地面に着くと自動的にリリースする独自のフックも取り入れ、重量物のピストン輸送に対応しているとPR。深刻な人手不足が続く林業で苗木や資材を運ぶことを想定しており、災害時の緊急物資輸送にも対応していく構えを見せている。大分県で昨年発生した地滑り被害の際は、孤立した世帯への救援物資輸送に使われたという。


ciRoboticsの「TR-22」

(藤原秀行)

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