株買い増し、幅広い船種で多様なサービス提供可能に
商船三井は6月25日、スイスを拠点に開口部が広く積み降ろしが容易な「オープンハッチ船」運航を手掛ける持ち分法適用関連会社のGearbulk Holding(ギアバルクホールディングス、HD)を事業再編した上、2025年1月ごろをめどに同社株式を72%相当まで買い増し、連結子会社化すると発表した。
商船三井は現在、ギアバルク株式の49%を商船三井が、残りを投資会社が保有しており、商船三井が株式を追加取得することにした。取得金額など詳細は今後詰める。
オープンハッチ船は箱型の船艙と船艙幅の広いハッチを持ち、パルプ、鋼材、アルミインゴットなどの半製品を効率的に輸送・荷役することが可能。ハッチやデッキ上に貨物を積載することも可能な仕様で、風力発電関連資材といったプロジェクト貨物や重量物の輸送にも対応できる。
ギアバルクはオープンハッチ船で60隻の船隊を保有しており、世界最大規模という。パルプや鋼材などの半製品を輸送貨物の柱に据え、小口の貨物やプロジェクト貨物との相積みで輸送を効率化、事業を伸ばしてきた。高い輸送ノウハウと船舶管理品質が特徴。
商船三井はギアバルクを子会社化することでオープンハッチ船をラインアップに加え、幅広い船種による多様な輸送サービスを提供できるようにし、海運業界で差別化を推し進めたい考え。
ギアバルクは港湾ターミナルの運営なども手掛けている。2023年12月期の売上高は約590億円、営業利益は約180億円だった。
(藤原秀行)※いずれも商船三井提供