JILS最優秀物流改善賞、2024年度は花王とコマツ物流が受賞

JILS最優秀物流改善賞、2024年度は花王とコマツ物流が受賞

倉庫運営改善による待機時間削減、海上コンテナ積載率改善

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)と日本物流資格士会は6月26日、2024年度の物流改善賞の選定結果を公表した。

最優秀物流改善賞は、花王とコマツ物流の2件にそれぞれ授与することを決めた。21年度までの「物流合理化賞」から22年度に現在の「最優秀物流改善賞」へ名称を変更して以降、花王は22年度に続いて2回目、コマツ物流は2年連続2回目の受賞となった。

各受賞の概要は以下の通り(掲載は社名50音順)。

最優秀物流改善賞(2件)
【物流業務部門】
受賞企業:花王株式会社
受賞事例:運送事業者に選ばれる物流センターへの挑戦 ~倉庫運営改善による待機時間削減の実現~
事例概要:自社工場の場外倉庫における待機時間削減を目指し、協力会社と共同で倉庫運営改善に取り組んだ。その結果、待機+積み込み2時間超過はゼロを達成。待機時間を減らすために多角的なアプローチを実施したことで、効果の高い改善策が明確になった。

受賞企業:コマツ物流株式会社
受賞事例:海上コンテナ積載率改善活動~コンテナ本数削減による海上運賃の抑制~
事例概要:コロナ禍の影響で輸出用コンテナの海上運賃が急激に上昇したことを受け、出荷コンテナ本数の削減が急務となり、①梱包荷姿が段積み可能なモジュールケース(定型サイズ)の使用率向上②モジュールケースとの段積み可能治具の作成③余剰ケースの他社との合積み――等、改善を実施することで、出荷コンテナ本数の削減に成功した。

優秀物流改善賞(5件)
【物流業務部門】
受賞企業:SBS東芝ロジスティクス株式会社
受賞事例:ムリ・ムダ・ムラ取り改善による作業者の負荷軽減 ~ストレスのない作業を目指して~
事例概要:当社大分ロジセンターでは、荷役作業のムダ取りや動作の統一を推進している。継続改善のためビデオで作業動作の統一確認を行う中、作業者から日頃ストレスを抱えて作業しているとの声が上がった。見る・探す・考える・待つ・かがむというストレスを取り除き、作業時間の短縮と品質向上を実現した。

受賞企業:TOTO株式会社
受賞事例:パレット画像認証システムの開発・導入
事例概要: 物流の2024年問題を間近に控え、トラックドライバーの拘束時間削減とさらなる生産性の向上が求められる中、長年、人手によるアナログ運用で作業をしていた「パレット在庫管理業務」に課題があった。そこで、「パレット画像認証システム」を他社と共同開発し、作業の DX化を実現した。

受賞企業:株式会社東北ウエノ
受賞事例:包装荷姿から2024年問題を解決 ~リターナブル集合包装容器で作業改善と廃棄量減~
事例概要: エアーフィルター製品のエンドユーザーから「納入ゴミ廃棄問題」の課題が提示され、出荷元より相談を受けた。 ヒアリングおよびコンサルティングを進めると、2024年問題を代表する「輸送便への手積み・手降ろし」をはじめ、「膨大な個装箱を開梱する手間と時間」などの課題も浮き彫りとなった。包装荷姿からの物流改善を提案することにより、これらの問題を解決することができた。

【物流管理部門】
受賞企業:花王株式会社
受賞事例:梱の商品配置変更支援ツールの開発とツールを用いた“ムダ”な移動距離の削減 ~サスティナブルでロジカルな現場の実現に向けて~
事例概要: 梱の商品配置状況を出荷量・頻度・カテゴリーで確認できるヒートマップと、梱出荷作業における作業者の移動距離を定量的に可視化するツールを開発した。このツールを活用することで、梱の商品配置変更業務の効率化と標準化を実現した。その結果、移動距離を削減し、梱出荷作業の生産性を向上させることに成功した。

受賞企業:花王株式会社/三甲リース株式会社
受賞事例:目指せパレット紛失ゼロ!~パレット管理精度の向上~
事例概要: 木製パレットから樹脂パレットへの切り替えにより物流品質を向上させたが、樹脂パレットの紛失に伴う弁済金が課題であった。社内外のパレット管理問題を把握し、0.2%以下の紛失率を目標に、エリアごとの管理やクラウド版システム導入を実施し、RFIDタグとGPS等のDX技術を活用することで紛失率を低減させ、目標を達成することができた。

実行委員特別賞(1件)
【物流業務部門】
受賞企業:MELCO LOGISTICS (THAILAND) CO., LTD.
受賞事例:タイ国・電子部品物流センターでのHHT(OCR)導入によるオペレーション改善
事例概要:入庫検品の目視チェック業務の負荷が高いため、荷主と協力してシステム改修を行い、ハンディーターミナル(OCR機能)による機械検品を導入した。また、フリーロケーション化による保管効率と作業効率の向上を図るため、システム改修(機能追加)を実施。これらの改善により、生産性向上、品質向上、返送コストの削減を実現した。

(藤原秀行)

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