官民検討会が構想公表、積極的な自動化も要望
成田空港を運営している成田国際空港株式会社(NAA)は7月3日、学識経験者や国土交通省、千葉県、地元市町の幹部らが参加している「『新しい成田空港』構想検討会」(委員長・山内弘隆武蔵野大学経営学部特任教授、一橋大学名誉教授)が取りまとめた「新しい成田空港」構想を公表した。
2024年で開港から46年を迎えた同空港について、インバウンド(訪日客)増加を受けて航空需要の伸びが引き続き見込まれているのを踏まえ、旅客と貨物の両方の機能強化を図り、同空港全体の国際競争力を強化することが急務になっていると指摘。
目指すべき姿として、「首都圏を発着地とする需要のみならず、アジアをはじめとする三国間流動や国際線・国内線の乗継需要を取り込み、『世界とつながる多様なネットワーク』を持つ国際ゲートウェイハブ空港」、「物流事業者が使いやすく、直送需要とともに三国間の継越需要も取り込み、路線・便数ともに多様な航空物流ネットワークを持つ東アジアの貨物ハブ空港」などを掲げた。
(NAA提供資料より引用)
その達成に向け、新貨物地区の整備や貨物上屋とフォワーダー施設の一体運用、自動搬送設備といった自動化機器の積極導入による高効率運用達成、圏央道新規ICからのスムーズなアクセスによる物流コストやリードタイムの削減などを求めている。
また、新貨物地区の隣接地にEC・流通加工拠点や機器のストック・メンテナンス拠点、生鮮品輸出拠点などを整備、新たなサービス需要を生み出していくことも提唱している。
新貨物地区はB滑走路とC滑走路の中間付近に設置し、新規に用地を取得する空港東側エリアを候補地とすることを明記している。
貨物上屋とフォワーダー施設の一体運用(NAA提供資料より引用)
NAAの田村明比古社長は同日、国交省の平岡成哲航空局長へ構想を提出した。今後、NAAは国交省や千葉県などと連携して構想を具体化していく構え。
構想は旅客分野について、現在は3つに分散している旅客ターミナルを1つの新しいターミナルへ順次集約するとともに、新ターミナルへアクセスできる新たな鉄道駅を整備することなどを列挙している。
(藤原秀行)