Liquidとエスアイ・システム、生体認証など活用
ELEMENTSグループで生体認証事業を展開しているLiquid(リキッド)と、人材派遣管理システムを担うエスアイ・システム(札幌市)は8月8日、企業の外国人就労資格管理業務を支援する「外国人あんしん就労サービス」の提供を同日開始したと発表した。
累計で5000万件以上のオンライン本人確認を手掛けてきたLiquidの認証技術と、人材派遣管理システムを約20年開発しているエスアイ・システムの外国人労務管理に関するノウハウを組み合わせ、外国人労働者の正確かつ効率的な就労資格管理を後押しする。
外国人労働者が専用のスマートフォン用アプリ「GPASS(ジーパス)」で在留カードのICチップから氏名などの情報を読み取れば、顔写真のデータも含めてシステムに自動登録。出退勤の際、物流施設などに設置しているカメラでAIが本人かどうかを自動的に確認、別人によるなりすましを防ぐ。
在留カードが有効期限内かどうかはLiquidが継続してチェックし、失効を検知すると管理者に通知する。勤務の実績と予定を一括的にシステムが把握し、法定の就労時間を超える場合は警告を発する。料金は一定の条件下で外国人1人当たり月額税別150円から。
(いずれも両社提供)
両社は、新サービスを使うことで管理者の業務はシステムを通じて継続的に提供される情報に不備がある場合に限定されるため、管理工数を最大80%削減できると想定。「不法就労を手間なく全方位的に防ぎ、適法に働く労働者の働きやすい環境を実現する」と強調している。
東京都内で同日、記者会見したLiquidの長谷川敬起代表取締役は「本人認証の仕組みを活用して、不正を防ぎながら様々な日常のサービスを提供できるようにしたい。スムーズに運用するための機能拡張は続けていきたい」と説明した。
新サービスのベータ版は複数の企業が利用しており、外国人労働者の登録は2万人を超えているという。両社は利用状況などを踏まえ、本格的にサービスを提供していくことにした。
政府は専門的な技能や知識を備え即戦力となる外国人労働者を人手不足の分野で受け入れることを認める特定技能制度の対象を拡大し、トラックドライバーをはじめとする「自動車運送業」などを追加する方針を決定しており、外国人労働者の受け入れが今後も進む見通し。
同時に、今年6月に改正出入国管理法が施行され、外国人に不法就労をさせた事業者への厳罰化などが実施されたことも考慮。新サービスで企業が過失なく外国人を雇用できるよう環境を整備する。
(川本真希、藤原秀行)