[PR]日本郵便が3PLを本格化、”toC”の強みと唯一無二の輸送網で事業を拡大

[PR]日本郵便が3PLを本格化、”toC”の強みと唯一無二の輸送網で事業を拡大

郵便輸送網と連結した3PL拠点を全国展開
個別のニーズに合わせ最適な物流体制を構築

日本郵便株式会社

ハブ郵便局併設型の3PL倉庫「物流ソリューションセンター(LSC)」を全国に展開して、リードタイム短縮、横持ち輸送の低減、在庫分散など、独自のソリューションを可能にしている。荷主の個別のニーズに柔軟に対応して最適な物流体制を構築・運営するアセット型の3PLサービスだ。 (本誌編集部)

通販に強い「進化するWMS」

日本郵便は現在、東京都全域における郵便・荷物の配送を「新東京郵便局」(東京都江東区)、「東京多摩郵便局」(東京都府中市)、「東京北部郵便局」(埼玉県和光市)の3つの地域区分局(ハブ郵便局)でカバーしている。

このうち東京北部郵便局は、郵便番号の上2桁が16〜18(新宿区、渋谷区、世田谷区など)と202(西東京市など)の地域を受け持っている。同社が全国20カ所に展開する「メガ物流局」の一つとして、東京外環道「和光北IC」から車で3分の場所に2015年に稼働した(図表1)。


(図表1)日本郵便有数の大規模ターミナル「東京北部郵便局」の最上階に「東京北部LSC」を置いている

ランプウェイを備えた6階建ての大型施設で総建設面積は7.8万平方メートル。その1階〜5階を郵便物と「ゆうパック」、「ゆうパケット」を仕分ける24時間365日稼働のハブ郵便局として使用し、最上階には延べ床面積約8千平方メートルの「東京北部 物流ソリューションセンター(LSC)」を置いている。

LSCの多くは日本郵便の全国輸送ネットワークとシームレスに連結されたハブ郵便局併設型の3PL倉庫だ。横持ち輸送のコストとリードタイムがかからず、出荷締め時間を限界まで後ろ倒しにできる。

現在、東京北部LSCには荷主企業12社が入居して、1日当たり約8千件、繁忙期には約1万5千件の出荷を処理している。荷主は通販会社が中心だが、食品、日用品や部品・工具、印刷物など、取り扱い貨物は様々でそれぞれ要件も違う。各荷主のニーズに合わせて最適な作業フローを組み立てている。

菓子メーカーの湖池屋は、オンラインショップ販売のtoC物流を同センターに委託している。入荷後、平置きのまま一時保管、注文を受けたらゆうパックの伝票を発行して荷物に貼付、方面別のかご車に積載して垂直搬送機で階下のハブ郵便局に送る、というオペレーションだ(図表2・3)。


(図表2)東京北部LSCでは、加工食品メーカーのD2C(消費者直販)にも対応している

(図表3)日本郵便の物流網

商品カテゴリー別に複数のLSCに在庫を分散している荷主もいる。東京北部LSCの高橋慎哉センター長は「全国の仕入先から最寄りのLSCに在庫を置くことで入荷リードタイムを短縮している。在庫が分散しても情報は当社のクラウドシステムを介してすべてつながっているので一括管理が可能だ。各拠点のSKU数が絞られて、むしろ管理精度は高くなる」とそのメリットを説明する。

特段の指定がある場合を除き、LSCに入居している荷主の大多数は日本郵便のクラウド型倉庫管理システム「日本郵便WMS」を利用している。「ゆうパック」「ゆうパケット」の発送に加え、コンビニ受け取りやJPロジスティクスの特積み輸送にも対応、送り状、ピッキングリスト、納品書を一体化した帳票を出力できる。

パッケージではなく、日本郵便が所有する自社システムであるため、運用を通じて常にPDCAを回して改善を重ねている。カスタマイズにも対応する。これまでも新規案件の構築や、既存荷主の販売方法変更等に対応して新たな機能を追加してきた。その結果、加工食品の日付管理や製造ロット管理、自動倉庫との連携なども含め、今では通販物流に必要な機能のほとんどを標準装備している。

高橋センター長は「現場で作り込んできた仕組みなので一般的なWMSパッケージと比べて明らかに使いやすく、管理もしやすい。自信を持ってお勧めしている」という。

サブスクの循環型物流にも対応

国立市谷保の「東京多摩LSC」では、通販やパンフレット類の発送、娯楽グッズを保管して全国の専門店や小規模事業主に供給する業務などのほか、使用済み製品の受け入れと再製品化(リファービッシュ)を伴う循環型物流にも対応している。車で10分の距離にあるハブ郵便局の東京多摩郵便局と毎日2回の定期便で結ばれており、ハブ郵便局併設型のLSCと同様の利便性を有している。

人気の家電品や美容器具をサブスクリプション方式でレンタルする「Alice.style」を運営するアリススタイル社は昨年4月に同センターに入居した。Alice.styleは月額3880円(税込)で900種類以上の商品を自由に利用できる定額制のシェアリングサービスだ。月に何度でも好きな商品を予約・返却できるサービスの特性上、動脈物流(配送)と共に静脈物流(返却)の効率化が大きな意味を持つ。

日本郵政グループの日本郵政キャピタルはアリススタイル社の成長性と社会性、そして日本郵便のネットワークとのシナジー効果に着目し、23年4月に同社と資本提携を結んだ。両社は「共創」の第一弾として東京多摩LSCに物流拠点を移し、新たなオペレーションを構築した。

同センターでは現在、約20人のスタッフがAlice.styleの業務に就いている。使用済み商品は着払いのゆうパックでユーザーから返却されてくる。それを開梱して返却済みの登録処理を済ませ、商品の起動を確認、再利用が可能なものは解体・洗浄して新品同様にクリーニング。次の出荷まで保管する(図表4)。


(図表4)東京多摩LSCではサブスクビジネスのリファービッシュ(返却品の再整備)業務も請け負っている

東京多摩LSCの西川哲弘センター長は「商品を再利用するためのリファービッシュ作業には商品ごとに固有のノウハウがある。新しい商品が入るたびに、センターに常駐するアリススタイル社の担当者と密にコミュニケーションをとって具体的な対応方法を詰めている」と説明する。Alice.styleの取扱件数は順調に増加しており、同センターでオペレーションが始まって1年余りで約1.5倍になったという。

日本郵便のロジスティクス事業担当 五味儀裕執行役員は「モノを所有するのではなく借りる、シェアリングするという流れに乗ったサブスクビジネスが、日本をはじめ世界中で拡大している。そうしたサーキュラーエコノミー(循環経済)で発生する静脈物流には、CtoBのタッチポイントが非常に多い日本郵便の強みを生かせる」と語る。


五味儀裕 執行役員

日本郵便は全国約2万4千の窓口及び約1200の集配機能拠点、17万本以上の郵便ポストによって国内をくまなく網羅している。個別の集荷依頼にも対応する。さらに「ローソン」「ミニストップ」「セイコーマート」など、ゆうパックの取り扱いコンビニ店もある。他社には真似のできない「From C」のネットワークにLSCの返品処理や再製品化などの機能を付加した静脈物流のワンストップサービスを、新たな武器と位置づけている。

3PL事業を成長ドライバーに

2022年7月、日本郵便はロジスティクス事業部を新設した。従来の郵便・物流営業部物流ソリューション営業室を改組して格上げした。同事業部はグループ会社のJPロジスティクス(旧トールエクスプレスジャパン、JPトールロジスティクス)とJP楽天ロジスティクス、そして日本郵便直轄のロジスティクス事業の3つの事業を統括し、合計で2千億円規模の売り上げがある。

このうちJPロジスティクスは、古くは大手特積みのフットワークエクスプレスを前身とする総合物流企業、JP楽天ロジスティクスはEC物流に特化した楽天グループとの合弁企業だ。一方、日本郵便のロジスティクス事業はLSCの運営をメーンとする。23年度のロジスティクス事業取扱高は約180億円だが、ロジスティクス事業に伴って発生する宅配便の売り上げを加えると、他の二事業と同レベルの約580億円になる。しかも、年率ふた桁ペースの成長が続いており、25年度のロジスティクス事業取扱高は220億円を見込んでいる。

日本郵便は2015年から17年の3年間に延べ約1300億円を投じて「郵便・物流ネットワークの再編」を行った。集配局と地域区分局の配置を最適化して機械化・省力化を進めると共に、拠点集約によって空いたスペースを利用した物流ソリューション事業に本格的に乗り出した。

その後もネットワークの再編に合わせて、新設するハブ郵便局の上層階もしくは近隣にLSCを設置してきた。24年8月現在、北海道から九州まで全国25カ所にLSCを展開している(図表5)。総倉庫面積は約18万平米に達する。


(図表5)全国25カ所にLSCを展開している(2024 年8月時点)

日本郵便の美並義人副社長は「JPグループ全体の収益に占めるロジスティクス事業のウエイトはまだ大きくはない。しかし、今後の成長ドライバーと位置づけて、社を挙げて力を入れている。幹部クラスを中途入社で外部から積極的に登用しているほか、倉庫もどんどん増やしている」という。


美並義人 代表取締役副社長

日本郵便は現在、全国に13ある支社において、支社単位や都道府県単位で営業部隊を組織しているほか、各LSCにそれぞれアカウント営業や課題解決に当たる専門スタッフを配置している。郵便局のホームページの法人窓口から問い合わせすれば適切なスタッフが対応する。最寄りの郵便局に相談することでもアクセスできる。

全国の法人営業を本社スタッフ部門のロジスティクス事業部が支援する。幹部社員は半数近くが大手物流会社やメーカー、商社からの転職組だ。五味執行役員は「ロジスティクスのノウハウを持つ人材を結集して短期間でビジネスをスケールしていきたい」とその狙いを説明する。

国内郵便の引受数は長期的な減少が続いている。23年度は前年度比6・0%減の135億8千万通。22年連続のマイナスで、ピークの2001年度の267億通からほぼ半減した。
メールやSMSの普及に伴い郵便物が減っていくのは先進国に共通の傾向で、今後も歯止めはかからないと見られている。

そのため日本郵政グループは2007年の民営化以来、郵便物の減少を物流事業の貨物で埋めることでユニバーサルサービスを維持していく戦略をとってきた。23年度の日本郵便の宅配便取扱個数(「ゆうパック」+「ゆうパケット」)は10・1億個、民営化時点から約4倍に増えた。ECの急速な進展が追い風になった。

しかし、足元はコロナ禍の特需が収束して頭打ちとなっている。日本郵政グループは中期経営計画「JPビジョン2025」で、宅配便の取扱個数を25年度に13.6億まで伸ばす計画を掲げている。美並副社長は「これまでの取り組みでラストワンマイルはかなり増えてきた。ここからさらに成長していくには事業領域を川下から川上に広げていく必要がある。ロジスティクス事業部にはその牽引役が期待されている」と語る。五味執行役員は「JPグループにはLSCのほかにも、JP楽天ロジスティクスが全国11カ所に大規模物流センターを展開しており、JPロジスティクスの拠点もある。JPロジスティクスは特積みだけでなく、上流の3PLやフォワーディングをはじめとする国際物流もカバーしている。これらのグループの総合力を生かした提案によってシナジー効果を出していく」という。

オープンプラットフォームへ

2024年問題をはじめとする人手不足の深刻化によって、日本郵便が担っているユニバーサルサービスをいかに持続可能な物流サービスとして維持していくかが大きな課題となっている。日本郵便では、3PLサービスもユニバーサルサービスの維持、価値向上に重要なサービスメニューの一つと考えている。

先の「JPビジョン2025」で日本郵政グループは「共創プラットフォーム」と呼ぶコンセプトを掲げて、グループ外の多様な企業と連携していく方針を打ち出した。美並副社長は「提携を結んだヤマトホールディングスや西濃運輸だけでなく、他の物流会社や輸送会社との共創もこれからもっと増えていく。近い将来、物流インフラは多くのプレーヤーが参加するオープンなフィジカルインターネット型になっていくことを想定している」という。3PLサービスという汎用性の高いサービスメニューを拡大・充実させていくことで、日本郵便はその核としての役割を果たしていく考えだ。

お問い合わせ先

日本郵便株式会社
〒100-8792 東京都千代田区大手町2-3-1
https://www.post.japanpost.jp/bizpost/strength/logistics/index.html

その他カテゴリの最新記事