法改正が迫る配送管理のデジタル化に伴走
佐藤健次 執行役員CSO
佐藤拓真 MOVO Vistaプロダクトマネージャー
物流事業に不可欠な配送管理業務が変革を迫られている。物流領域全体の人手不足に加え、2025年度からは法改正により「実運送体制管理簿」作成なども義務化され、電話やファクス中心の業務フローは近く限界を迎える。Hacobuの配車受発注・管理サービス「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)」が、多忙を極める配送管理の業務負担を軽減、物流事業者のDX化に寄り添う。(聞き手・本誌編集部)
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真に必要な時間を創る
「電話をかけ続けて一日が終わっていた配車担当者の業務が変わった。そんなうれしい声をいただいています」。同社の佐藤拓真MOVOVistaプロダクトマネージャーは胸を張る。
MOVO Vistaは荷主企業や元請事業者、下請事業者らをクラウドでつなぎ、配送案件の受発注や管理、請求業務などを効率化するサービスだ。配送を依頼する事業者が、軒先条件や発着時間、希望車両、荷物情報などを入力し、選択した配送依頼先に送信。依頼先の下請事業者が画面上の「承諾」をクリックすれば依頼完了。車両やドライバー情報なども共有でき、請求書もワンクリックで発行される。
デジタル化の進まない物流領域の配送管理業務は煩雑を極める。配送依頼や応諾確認、ドライバーや車両情報の収集、配送後の請求書発行──。これら一連のやり取りがいまだに電話やファクス、メールによって行われている。
MOVO Vistaでは、依頼元と依頼先がクラウド上で同じ情報にアクセスしながら依頼や確認を行うため、作業工数の削減につながる。ドライバー向け無料モバイルアプリとの連携で配送状況も一目瞭然。急な荷主からの配達確認にも即対応できる強みを持つ。
同社によると、ファクスで配送を依頼した場合、荷主からの依頼情報の転記や送信、確認などに1件当たり平均7分を要する。1日50件なら約5時間50分の計算だが、MOVO Vistaで半減できると試算する。導入したASKUL LOGISTでは、月40~50時間を要した手配から請求までの業務が約10時間に短縮され、75%の業務効率化を達成できたという。
佐藤拓真氏は「直接のコミュニケーションが減るとの声もありますが、それは逆。業務が効率化されれば、コミュニケーションを手厚くできる。時間を必要な方向に寄せることが可能になります」と恩恵を説く。
従来の業務フローからの脱却は一筋縄とはいかないが、「カスタマーサクセス」と呼ばれる専属チームがシステムの運用定着まで手厚く支援する。また、同社の付加サービスとして他システムの出荷情報をMOVO Vista上に取り込むなど、個別のシステム開発体制も整える。
「ツリー型」から「文鎮型」へ移行
物流領域の構造問題に入る行政のメスも、配送管理業務のデジタル化を急務にしている。
「多重構造がどの程度なのか、見える化されることによって、下請事業者が適正な対価を取れるようにしなければならない」。7月30日に開催されたHacobu主催のWEBセミナー。登壇した国土交通省 物流・自動車局貨物流通事業課 松木拓課長補佐は、多重下請構造の常態化に警鐘を鳴らした。
政府は労働時間規制などで輸送能力の大幅な低下が見込まれる「2024年問題」の解決に、全産業平均より約1割低いドライバーの賃金水準の改善が重要であるとみており、そのための多重下請構造の解消に注力する。
一里塚と位置付けるのが、5月に公布された「改正貨物自動車運送事業法」。元請事業者は来年度から、「実運送体制管理簿」の作成及び、配送完了から1年間の保存が義務付けられる見通しだ。実運送体制管理簿には、下請次数も明記され、荷主(真荷主)からの閲覧要望に応じる必要がある。
下請事業者に配送を依頼した場合、運賃と別建てで発生する「利用運送手数料(下請け手数料)」も設定された。「標準的な運賃」を元請事業者ではなく、実運送事業者が受け取る仕組みで、実運送事業者に一定の運賃水準が確保される一方、下請次数が多いほど荷主の運賃負担は重くなる。そのため、多階層にわたる下請けを抱える元請事業者ほど荷主に敬遠される事態が起こり得る。
結果として、階層型の「ツリー型」だった下請構造は今後、元請事業者の直下に多数の実運送事業者がぶら下がる「文鎮型」へ移行する流れが必然だ(図)。元請事業者はこうした多数の実運送事業者に対する配車業務などを一手に担わなければならない事態にさらされる。同社の佐藤健次執行役員CSOは「そうなれば、元請事業者の配車業務は、今以上に煩雑さを極める。デジタル化は新しい仕事のやり方のエネイブラーであり、必要条件だ」と語る。
貨物自動車運送事業法の改正により予測される今後の下請構造の変化
「攻め」のデータ活用にも
実運送体制管理簿についても、政府の義務化を受けて2月下旬、ドライバー情報などを入力する際、下請次数情報を入力できる新機能を業界最速でリリース。実運送体制管理簿の作成がワンクリックでできるようにした。
MOVO Vista導入は、法改正への対応にとどまらない。下請事業者ごとに電話やファクス、メールなどに分かれていた依頼・請求時の情報が、「属人化」されない、組織全体で可視化・共有化できるデータとして日々、蓄積されることに価値がある。
これは事業者が今後の経営を考える上で、大きな武器となる。どの荷物がどこからどこまで運ばれているのか。内蔵されたダッシュボード機能などによる分析を積み重ねることで、配送戦略の見直しなど事業全体の大幅な改善につなげられるからだ。前述の実運送体制管理簿で入力した案件別の下請次数データも、同機能を使って取引事業者別に下請次数の実態を把握できるようアップデートする予定だ。
早くもデータ活用で成果を生んだ導入企業もある。事業部ごとにMOVO Vistaを運用していた企業が配送データを突き合わせた結果、集約可能な配送案件に気付き、事業所の垣根を越えた共同配送につながったという。
視線の先には、物流領域全体で取り組むべきドライバーの待遇改善効果も見据えている。アプリからどの納品先で荷待ちが長く発生しているかといったデータを集めることで、納品先に改善を要望することにもつながるという。
「物流領域の多重下請構造を解消し、ドライバーの待遇改善を目指す。そんな法改正をサポートするためのデジタル化を目指していく。エッセンシャルワークである物流に携わる人たちが足元の配送業務をしっかり続けられるようなシステムを今後も生み出していきたい」(佐藤健次氏)。
開発スピードとシステムの安定性を追求し続けるMOVO Vista。これからも社会にとって不可欠な物流のインフラであり続ける。
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