経団連が施行前に意見表明、業界の特殊事情に考慮も訴え
日本経済団体連合会(経団連)は9月17日、「2024年問題」対応として物流センターでの荷待ち・荷役時間短縮に向け、荷主企業や物流事業者に対応を義務付けることなどを柱とした改正2法について、2025年度からの施行を前に意見を公表した。
この中で、改正2法全体について「荷主の事業実態を踏まえ、業務負担ができるだけ少ない方法を選択すべきだ」との見解を表明。
「本改正法成立前から物流効率化に真摯に取り組んできた荷主や、各業界の自主行動計画に基づき既に実効性のある取り組みを実施している事業者も多く存在する。先行して努力してきた事業者が不利な扱いを受けないような制度設計を目指すべきである」と強調した。
併せて、制度設計の際、自主行動計画に記載された各業界の特殊事情を考慮した内容とすることも求めた。
また、一定規模以上の荷主に配置を義務付ける「物流統括管理者」(CLO、最高物流責任者)について「定期報告をするだけの役職ではなく、各事業者内において、物流に過度に負荷をかけないように営業部門や製造部門など、社内で適切に利害調整ができる役職者の選任を推奨すべきだ」と訴えた。
さらに、改正2法で国土交通などの主務大臣がトラックドライバーの負荷軽減に向けた施策の方向性などを明記する「基本方針」に関連し、物流業務効率化のための設備投資が不可欠になる見通しなのを踏まえて「補助金や減税などを含めた荷主事業者への支援を考える必要がある」と政府にくぎを刺した。
荷主や物流事業者が物流効率化の施策を進める上で考慮する「判断基準」を定める際、荷待ち時間と荷役等時間の総時間を2時間以内に抑えるよう求める方向となっていることに対しては、業界によっては対応できない特殊な事情を抱えていると指摘、配慮を要請した。
(藤原秀行)