神奈川の拠点で3月に実運用開始、「24年問題」で作業時間短縮にも対応
鴻池運輸は9月18日、神奈川県綾瀬市の物流拠点「神奈川綾瀬営業所」で今年3月に三菱ロジスネクストと連携して実運用を開始した、AGF(無人フォークリフト)とAGV(無人搬送ロボット)などを組み合わせたトラックへの荷積み自動化システムをメディアに公開した。
2台のAGFが搭載したセンサーなどを駆使し、トラックの荷台の位置などを自動的に検知して商品入りケースを満載したパレットを左右両側からすき間なく積み込んだ。大型トラック1台16パレット分を15分以内で積み込むことが可能という。この日のデモでは1枚当たりケース50個を搭載したパレット16枚分の荷物を約12分半で積み込んだ。
「2024年問題」でトラックドライバーの負荷軽減が必須となっており、政府が物流センターでの荷役時間短縮を強く荷主企業や物流事業者に求めている点も踏まえ、鴻池運輸と三菱ロジスネクストはトラックへの荷積み自動化システムの精度をさらに高めていくことを目指す。
自動的に荷積みするAGF
同営業所は飲料製品をメーンに取り扱っている。トラックへの荷積み自動化システムは労働力不足を解消し、今後も安定的に物流サービスを提供できるようにすることを目指して22年3月、実証実験をスタート。作業の安全を維持しつつ省人化を果たすめどが立ったことから実運用に踏み切った。
両社は同営業所のバース1カ所にトラックへの荷積み自動化システムを導入。自動倉庫から出庫したパレット積みのケースをコンベヤーでAGVまで運び、AGVがAGFの作業エリアまで搬送。その後はAGFがパレットを荷台まで運ぶ。
自動倉庫から出庫したパレット積みケースを搬送するAGV
AGVが搭載しているパレット積みケースを持ち上げるAGF
タブレット端末から容易に作業を指示できる
同システムに使っているAGFやAGVは三菱ロジスネクストが既に実用化しているものを投入。機体の制御や周辺環境のセンシングに関する独自の技術を両社で開発し、トラックの駐車位置が変わっても的確に荷台の位置を把握し、有人のフォークリフトと同程度の精度や時間でトラックへの荷積みを終えられるようにした。
現在はパレットに余りなくきっちりとケースを搭載できるサイズの商品で荷積みを自動化できるという。鴻池運輸は今後、同営業所で複数のバースに同システムを採用することを計画しているほか、他の物流拠点に横展開していくことも目指す。
公開に併せて記者会見した同営業所の仲山智紀所長は「今まで製品輸送で、荷崩れしないように養生で荷物の間に(緩衝材などを)挟み込んでいたが、AGFがきっちりと積み込むことでそういうものがなくても大丈夫になる」と語った。
きっちりと並べて荷積みが完了
(藤原秀行)