規格外品発生時の二次流通費用補償する特約に協力、物流機能など提供
こどもの機会格差の解消を目指すネッスー(東京都世田谷区代沢)は9月27日、東京海上日動火災保険と連携し、10月1日に社会課題の食品ロス解決に取り組むと発表した。
環境省の最新の推計によれば、日本国内における2022年度の食品ロスは472万tに上り、その半分の236万tが事業系食品ロスとみられるという。
飲食店、スーパー、コンビニエンスストア、食品製造業などから生じる事業系食品ロスは賞味期限・納品期限切れに起因する場合や、保管中・加工中・輸送中の物損等に起因する場合などさまざまな要因で発生しており、環境負荷の増大や経済的損失を引き起こし、持続可能な社会の実現に向けた大きな社会課題となっている。
政府も2019年に「食品ロス削減推進法」を施行、食品ロス削減に向けた取り組みを強化している。
ネッスーは東京海上日動が10月、新たに募集を開始する「食品ロス削減推進特約」に、フードバンク事業が持つマッチング・物流機能を提供する。
「食品ロス削減推進特約」は、保管中・加工中・輸送中の事故、落下等による梱包・化粧箱の外装損傷などにより、商品ロットの一部に損害が生じた際、品質上の問題がない食品を廃棄ではなく再販や寄付の二次商流を手配することで生じた二次流通費用、二次商流への転売益を差し引いた貨物損害を補償する。
規格外品発生時の二次流通費用を補償することで、食品ロスの発生を抑える狙いがある。
ネッスーは全国各地のフードバンクやこども食堂などの食支援団体との連携、食品の適切な選別と配送を通じ、東京海上日動の「食品ロス削減推進特約」に加入する企業の食品ロス削減に向けた取り組みを後押しし、自社のフードバンク事業における食支援量の増大を図る。
事業連携の内容とネッスーの役割(同社提供)
ネッスーは輸送中の事故による外装損傷など、ロットの一部に損害が生じているものの、品質上の問題がないにも関わらず通常の販路を失う食品が発生した場合、事故発生場所から引き取って検品を行い、活用ができる商品を特定した上で保管する。
また、活用ができる商品を、ネッスーのマッチングプラットフォームやネットワークを活用して、こども食堂や困難を抱える子育て世帯につなげる。その際、商品の種類や残存賞味期限、荷主や食品メーカーの意向に応じて、無償での寄付と廉価販売のいずれかを選択できるようにする。さらに、マッチングを行った提供先に対して、商品を配送する。
ネッスーは今回の連携により、少なくとも年間100t以上の食品ロス削減と同社の食支援量の増加を見込んでいる。食品ロスの廃棄を抑制することで、年間約220t以上の温室効果ガス排出削減にもつながるとみている。
(藤原秀行)