枕通販のまくら、在庫ゼロ&受注生産型の「次世代EC」ロジスティクス構築

枕通販のまくら、在庫ゼロ&受注生産型の「次世代EC」ロジスティクス構築

千葉・我孫子の物流拠点でオペレーション変革

枕の企画開発・製造・販売を手掛ける まくら(千葉県柏市)は10月2日、在庫を持たず受注生産方式で、即日生産出荷にも対応した枕の次世代ロジスティクスシステム「つくれるロジ」の運用を10月1日に始めたと発表した。

「在庫ゼロEC」を実現し、「材料は持つが在庫は持たない」「商品廃棄ゼロ」「長期保管ゼロ」を達成していきたい考え。

まくらは、枕のECを20年間継続。設立当初は、JANコードや製造番号、製造コードなど特有の型番がある「型番商品」をメーカーから仕入れ、その商品をECで販売するというビジネスモデルで成長し、品揃えは最大5万点に達した。

同時に、ITを生かして業務効率化を進め、「需要を予測した自動発注システム」などの独自システムを確立。棚卸し資産回転日数が8日という驚異的な在庫回転率を達成した。

ただ、型番商品での価格競争の激化や即日配送需要の上昇から、徐々にビジネス形態は変化し、オリジナル商品の製造・企画、販売が中心となっていった。型番商品からオリジナル商品への変化は、在庫リスクや保管コストの上昇など、新たな課題を生むことになった。

そうした状況を改善するため、2020年にDXを活用した課題解決策の検討を開始。24年に次世代のECビジネスモデル「つくれるロジ」を構築、運用を始めることにした。

「つくれるロジ」は製造を伴ったロジスティクスを意味する。

まくらは20年間、自社スタッフで荷造り梱包、発送業務を行ってきた。現在も千葉県我孫子市で物流拠点「我孫子ファクトリー&ロジスティクスセンター」を稼働させ、ECで受注した商品の発送業務を担っている。

これまでは主に商品の発送やギフトラッピング、アッセンブル業務に特化していたが、今後は「製造」「ファクトリー機能」を追加し、ECで受注した後、枕の製造・生産を行い、出荷を済ませることが可能な体制を確立した。

また、DXを活用することにより、製造から出荷までのリードタイムを最大限に短縮。正午までの受注で当日製造・当日出荷できるようになった。10月以降は土日の製造出荷にも対応し、365日体制で運用する計画。

今回の取り組みにより、単に出荷のみを行ってきた枕の既製品においては、楽天物流などを利用したアウトソーシングに切り替え、自社運営のロジスティクスセンターでは受注生産が可能な商品の取り扱いに絞り込み、アウトソーシングでは実現できない「即日製造、即日出荷」の体制を整備し「強み」の見直しを図った。

今後は、「つくれるロジ」はECでBtoCに加えてBtoBの販路も活用していく方針。対象商品・受注数を徐々に増やし、月間3000件の出荷を目指す。

(藤原秀行)※いずれもまくら提供

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