越境で事業化は日本企業初、脱炭素への貢献目指す
住友商事と川崎汽船、米国の石油会社Hilcorp Alaska(ヒルコープ・アラスカ)は10月11日、米アラスカでCCS(二酸化炭素の地下貯留)事業を共同展開すると発表した。
3社で事業性を調査する。日本国内でCO2を集約し、大型液化CO2輸送船でアラスカへ輸送、圧入・貯留する一連のCCSバリューチェーンを構築、社内の脱炭素化への貢献を目指す。
3社は、日米間で越境CCSの事業化に向け共同調査するのは日本企業として初めてと説明している。日米政府とも連携しながら事業化を目指す。
日本政府は2030年までのCCS事業開始に向けた事業環境整備を推進している。今年4月には日米首脳会談共同声明におけるファクトシート( )で、日本とアラスカの間のCO2輸送、貯留ハブの可能性を両国間で評価していく方針を提示した。
日米両政府間でアラスカにおけるCCS事業性の検討を進める中、3社も具体的に対応することにした。具体的には、各社がそれぞれの知見や経験に基づいて貯留のキャパシティを含むCO2地下貯留に関する技術調査や液化CO2船に関する技術要件調査、事業環境のレビューなどを進め、実現の可能性を探る。
3社によると、米アラスカは1950年代から油ガス田開発が盛んで、CCS事業の総貯留量は日本のCO2排出量の50年分に相当する50ギガトンが見込まれている。油ガス開発を通じて蓄積してきたデータがCO2貯留に利用可能なのに加え、LNG(液化天然ガス)基地、港湾設備、パイプラインなど既存インフラが既に存在することも、CCS事業を展開する上で有望と見込まれている。
経済産業省と米エネルギー省(DOE)共同主催の「第4回日米CCUSワーキンググループ」で、日米両政府の立ち合いの下、実施した本事業性調査に関する共同調査契約締結の調印式の様子(プレスリリースより引用)
(藤原秀行)