国交省が有識者検討委で方針説明、事業者は30社程度の見通し
国土交通省は11月21日、昨年7月に名古屋港の管理システムがサイバー攻撃を受けて港湾荷役が一時ストップした事態を踏まえ、有識者や関係事業者らが対策を協議する「コンテナターミナルにおける情報セキュリティ対策等検討委員会」の第5回会合を開催した。
席上、政府が港湾の情報セキュリティ対策強化を盛り込んだ改正経済安全保障推進法を、来春ごろをめどに施行する方向で準備を進めているのに関連し、国交省から規制強化の対象となる「一般港湾運送事業」の条件案を提示した。
年間のコンテナ取扱量が80万TEU(20フィート標準コンテナ換算)以上の港湾にあるコンテナターミナルでコンテナ荷役を担う事業者を「特定社会基盤事業者」に指定し、重要な設備を導入する際に政府が情報セキュリティの対策が適切に講じられているかどうかなどを事前審査する方針を打ち出した。
80万TEU以上の港湾は京浜港(東京、川崎、横浜の各港)、名古屋港、大阪港、神戸港、博多港の5カ所で、国内のコンテナ取扱貨物量の約4分の3を占めている。国交省によれば、現時点で全国の30社程度が特定社会基盤事業者の対象になる見通しという。
国交省は近く、条件案などの内容に関してパブリックコメント(一般からの意見募集)を実施した上で、改正経済安全保障推進法と並行して改正省令も施行する予定。施行後、すみやかに特定社会基盤事業者を正式に指定し、2025年秋ごろに事前審査の制度運用を始めたい考えだ。
この日の会合では、事前審査の対象となる設備を、船舶へのコンテナ積み込み計画の作成などを担うターミナルオペレーションシステム(TOS)とし、対象の港湾で使うものに限定することなども打ち出した。
特定社会基盤事業者には、事前審査の際、TOSを構成しているサーバーやソフトウエアのメーカーなどを明記した書類を提出する義務を課す方針。
併せて、国交省が今年4月に公表した「港湾分野における情報セキュリティ確保に係る安全ガイドライン」を、2024年度中に改定することもあらためて確認した。
(藤原秀行)