ニトリHDとホームロジスティクスが移動型専用車をメディアにお披露目
ニトリホールディングスと物流子会社のホームロジスティクスは6月13日、住宅の部屋を10トントラックのボディーに本物そっくりに再現し、従業員が家具納品を全国どこでも本番に限りなく近い状況で実施できる移動型納品訓練車「モバイル・トレーニング・ユニット」を、川崎市内のホームロジスティクス物流センターでメディアに公開した。
同種の訓練車を導入するのは物流業界で初めてとみられる。ホームロジと日野自動車、架装メーカーのオオシマ自工(山口県柳井市)が共同で開発した。ホームロジの従業員や協力会社のドライバー向けに今夏から運用する。
ホームロジは現在、川崎市と大阪府茨木市の物流拠点内に納品訓練施設を配置、従業員や協力会社のドライバーを対象に訓練を行っている。新たに専用車両を投入することで、訓練の頻度を高めて全国均一で配送サービスレベルの維持・向上につなげられると見込む。
メディアに公開した「モバイル・トレーニング・ユニット」
2階からの吊り上げ訓練も可能に
荷台は左右と上部に拡幅し、中に住宅の部屋を再現。納品時の接客から室内を養生し、どこに配置するかを決めたり、組み立てたりする訓練を展開する。たんすなどの大型家具を2階の窓から吊り上げて屋内に搬入したり、階段を慎重に下ろして納品したりすることも体験可能だ。
荷台部分の拡幅作業は5分程度で完了し、現場到着から1時間以内に研修を開始できるという。
記者会見したホームロジスティクスの五十嵐明生社長は「年間300万件くらいの2人がかりの配送を行っている。1日に配送車両が稼働できる時間は限られている中で効率良く、かつお客さまに満足いただける品質でお渡しするには技術を要する。当社はドライバーの方々を“セールスマン”、助手の方は“セールスアシスト”と呼称している。お客さまが一番使いやすい形でセールスマンやセールスアシストが商品をお渡しすることで次のご来店につなげていける」と配送品質を重視しているスタンスを説明。
「川崎と大阪なので遠隔地の方はどうしても来にくかったのは事実。協力会社の方から研修の機会を増やせないのかというお声も頂戴していた。こちらから日本中に車を走らせて伺うことで納品レベルの維持・向上を図るのが一番の目的だ。1人当たり2~3年に1回は訓練を受けていただけるようになる」と強調した。
会見に同席した日野自動車特販部大手法人室第二グループの小海亨グループ長は「これだけのことをしていただける架装メーカーを見つけるまでが大変だった。メンテナンスなどの面で(円滑な研修に)協力したい」と述べた。オオシマ自工の中西眞博執行役員工場長は「既製品は1つもなく全て手作り」と説明した。
会見する(左から)中西氏、五十嵐氏、小海氏
テープカットに臨む関係者
(藤原秀行)