日通が運送保険で不適切請求判明、最大820万円の可能性

日通が運送保険で不適切請求判明、最大820万円の可能性

無保険の案件でも、「社内手続き簡便に済ませるため」

日本通運は12月6日、運送中の荷物破損などをカバーする運送保険に関し、契約先の損害保険ジャパンに対してグループで最大150件・820万円の不適切な保険金請求をした可能性があると発表した。

荷物を引き受けた際、一部を補償する契約だったにもかかわらず、荷物全てを補償するよう請求するなどしていたという。

日通によると、今年6月にこの事業所を点検した際、2022年5月から今年5月までの間、計7件・約30万5000円に及ぶ不適切な請求があったことを確認した。

不適切な請求を行った従業員は、輸送を受託した時に、荷物の「一部保険」(保険金額が保険価額を下回る水準に設定している状態)と設定したが、事故が発生した後に、保険金額が保険価額に等しい「全部保険」で引き受けたようにデータを修正、満額補償するよう請求、荷主に支払っていたという。一方、損保ジャパンには一部保険として保険料を支払っていた。

日通が当該従業員に調査した結果、「荷主への説明を省き社内手続きを簡便に済ませるために行った」と回答。不適切に請求した保険金を私的に流用した事実はないという。また、社内システムは保険料や保険金額を配達完了日以降に修正できるようになっていたという。

現在はこの社内システムを利用する日通とグループ会社で、過去2年間に受託した荷物に関し、配達完了日以降に保険料を修正していた1156件を抽出し、該当する68事業所の担当者に聞き取りを進めている。

現状では不適切な請求があったのは27カ所で、最大150件・合計820万円に及ぶと推計している。

日通は「組織的な関与を示す指示書やマニュアルは確認されていない」と強調。荷主からも指示はなく、荷主への保険金を過小や過大に支払ったこともなかったという。

(藤原秀行)

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