5回目の挑戦で悲願達成、旭化成や江崎グリコもトップ10入り
SCM・サプライチェーンに関する人材教育を手掛けているオランダのInchainge(インチェインジ)は11月12~15日、世界中の企業が参加して架空企業の経営改善に挑むコンテスト「世界SCM競技会(Global Professional Challenge)」の2024年大会の決勝を開催した。
日本を含む世界15カ国の主要企業から予選を突破した48 チームが参加し、SCM運営の手腕を競い合った結果、ロジスティードのチームが日本勢として初めて優勝する快挙を成し遂げた。
ロジスティードは日立物流時代から継続的に参加しており、これまでは2022年の3位が最高だった。5回目の出場で悲願を達成した。
オンラインでロジスティードの優勝を発表するIncahinge
快挙を達成したロジスティードチーム(いずれもロジスティード提供)
Inchaingeの発表によると、2位はエネルギーマネジメントや生産現場の自動化支援などを手掛けるフランスのシュナイダーエレクトリック、3位はやはり日本の旭化成のチームがランクインした。旭化成は初出場ながら2チームを送り込み、もう1チームも5位に入る健闘ぶりだった。日本勢はこのほか、江崎グリコが7位に入った。
ベスト20には他にもスイスの農薬大手シンジェンタや米国の化粧品大手エスティ・ローダーなど、著名な企業が並んでいる。
旭化成のチームメンバー(同社提供)
世界SCM競技会は参加したチームのメンバーが架空企業の調達やオペレーション(製造、倉庫)などの役割を担い、Inchallengeが独自に開発したシミュレーションソフトを駆使して物流の効率化や在庫の適正化、販売促進などをバランス良く進め、いかにROI(投下資本利益率)を最大化できるかを競い合っている。
実践的なプログラムを通じ、経営とSCMの重要性を学び取ってもらうのが開催の狙いで、例年数百規模の企業がチームを派遣している。
シミュレーションソフトを活用した教育プログラムのTFC(The Fresh Connection)はSCM普及に努める国際団体APICS(American Production and Inventory Control Society)が認定。米国の著名な経済誌Fortune(フォーチュン)が選出している世界の収益が大きい主要企業「Fortune Global 500」の製造業トップ100社のうち4割が採用するなど、欧米を中心に普及が進んでいる。
世界SCM競技会では、どのように行動すればROIを上げられるか参加者には教えられないため、参加者はチーム内で結束を図りながら、短期間でいかにバランスの取れたSCM展開を実現できるかが大きな鍵を握る。
(藤原秀行)