自動物流道路「地下空間の活用が優位」との声目立つ、低温帯の貨物輸送検討求める向きも複数存在

自動物流道路「地下空間の活用が優位」との声目立つ、低温帯の貨物輸送検討求める向きも複数存在

国交省が「対話型市場調査」結果取りまとめ

国土交通省は12月19日、既存の道路インフラを活用し、自動で荷物を輸送する「自動物流道路」の実現に向け、必要な機能や克服すべき課題などを議論する有識者らの検討会(座長・羽藤英二東京大学大学院工学系研究科教授)を開催した。

国交省は今年10~11月に実施した、事業への参入に関心がある民間企業に意見や要望を尋ね、構想を固める「サウンディング(対話型市場調査)」の実施結果を報告した。建設業や製造業、運送業など46社が意見を提出した。

自動物流道路をどのように設けるかについては、災害・天候・事故などの影響を受けにくく安定した輸送が可能で、施工時に既存の道路交通に影響を与えないという観点から「地下空間の活用が優位ではないか」と提唱する向きが15件に上った。

取り扱う貨物に関し、多種多様な貨物を輸送することを前提として検討すべきとの意見が8件、低温(チルド・冷凍)帯の貨物の輸送を検討すべきだとの声が4件、既存のビールパレットやロールボックスパレットなどの搬送資材をそのまま活用できるような設計を採用するよう提唱したのが4件と、それぞれ複数の企業から寄せられた。

ルートについても、今後のトラックドライバー不足を考慮すれば、東京以北や大阪以南に順次延伸するなど「全国的なネットワークの形成を視野に入れるべき」と主張する向きが9件あった。

このほか、自動物流道路は施設の建設・保有と運営の主体を別にする「上下分離」とし、政府やNEXCO(高速道路運営会社)、日本高速道路保有・債務返済機構が建設・保有することが適切との意見が建設業など12件あった。

さらに、貨物を保管・仕分けするデポを確保する上で、用地確保やコスト削減の観点から、新設だけでなく既存の物流施設を使うことも選択肢の1つになると不動産業・物品賃貸業など5件が提唱した。

企業からは全体的に、需要が不確実なことやコストが膨大に上ることなど、リスクが数多く存在しているため、民間が全てのリスクを負うのは困難で政府も何らかの対応をすべきだとの声が多かったという。

国交省は併せて、必要となる技術について、今年12月から2025年2月にかけて別途、事業への参加に関心がある企業向けにサウンディングを行う考えを示した。

(藤原秀行)

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