中小企業の賃上げ原資確保
日本経済団体連合会(経団連)と日本商工会議所、経済同友会の主要経済3団体は1月16日、「社会全体における『価格転嫁の商習慣』の定着に向けて」と題する提言を共同で発表した。
この中で「サプライチェーン全体を強靭化し、付加価値を拡大するためには、日本の強みである大企業と中小企業の共存共栄関係の再構築が不可欠」と主張。
中小企業が賃上げの原資を確実に確保できるよう、コスト上昇分を適正に製品の価格やサービスの料金へ転嫁することを商習慣として定着させることを各団体の会員企業に求めている。、
併せて、経済産業省が主導している、企業が適正な取引価格の実現などに取り組む方針を明言する活動「パートナーシップ構築宣言」に参加することも呼び掛けた。
提言は、「BtoB取引でパートナーシップ構築宣言の実効性確保を図るのに加えて、BtoC取引で消費者に対し『良い物やサービスには値が付く』という価値観を浸透させ、デフレマインドを払拭し、価格転嫁を社会全体で受け入れる商習慣の確立に向けて、官民挙げて推進していくことが急務」と強調。
「発注者であるサプライチェーン上位に位置する大企業などは、受注者の要請に真摯に向き合うとともに、受注者においても価格交渉力を高め、臆することなく価格交渉を申し入れるなど、価格転嫁を商習慣としていくことに努める」よう提唱している。
併せて、「業種・業界・サプライチェーンの課題を適切に把握するとともに、業界内で依るべき優良な取引慣行について体系的な改善サイクルを確立する」点についても官民で取り組むよう要請している。
(藤原秀行)