【独自取材】キヤノンITSが物流業界などに「手書き帳票のデジタル化」を積極拡販

【独自取材】キヤノンITSが物流業界などに「手書き帳票のデジタル化」を積極拡販

AIが文字を確実に認識、顧客から引き合い好調

キヤノンITソリューションズ(ITS)が画像処理技術、AI(人工知能)で手書き帳票をデジタル化するクラウド型AI OCR(光学文字認識)ソリューション「CaptureBrain(キャプチャーブレイン)」の営業活動を本格展開している。5月28日の製品リリース以降、物流など幅広い業界から引き合いが寄せられており、同社はデジタル化促進の面から社会的な貢献度も高いと判断。早急に成果を積み上げていく構えだ。

日本の産業でもIoT(モノのインターネット)やビッグデータといったデジタルビジネスへの取り組みが活発化する一方、物流・金融・食品などの業界では依然として紙帳票や手書き帳票が多用されている。手書きでは文字・数字の間違い、個人の癖に起因する判読不明、記入に要する作業負担などが課題となっており、物流業界でもデジタル帳票の導入など“脱アナログ”が急務と指摘される。

キヤノンITSでは手書き帳票が業務効率化のボトルネックとなっている点に着目。手書き文字をAIで認識するエンジンと独自の画像処理技術を連携させ、帳票画像をOCRに適した状態に補正することで読み取り精度を高めた。同社調べによると認識精度は従来と比べて10%以上アップしているという。

インターネット経由でアップロードされた手書き帳票などのスキャンデータを補正、種類別に分類する前処理、OCRによる文字領域の抽出と手書き文字を認識する本処理、ウェブ画面での確認・修正および記載内容のデジタル化を行う後処理までをワンストップ提供。紙や手書きのアナログ情報を自動・高精度でデジタル変換することによって顧客のデータ活用をサポートしていく。


「CaptureBrain(キャプチャーブレイン)」の運用イメージ(キヤノンITS提供)※クリックで拡大

販売価格は初期設定費が100万円から、個別開発費は200万円から。年間利用料は対象帳票、ボリュームによる従量課金制。各種手書き申込書、ファクスによる手書きの注文書・申込書、定型業務報告書、保守契約などの手書き申込書、納品伝票などの手書き帳票、医療機関の問診票・健診票などを対象とする。

煩雑で膨大な量の帳票記入・整理は業務効率化のボトルネックとなっていることが多い上、昨今の人手不足も相まって従業員1人当たりに対する作業負担の増加、また紙ベースの情報は社内外で共有できないといったデメリットの側面が強い。

今後は業務プロセスの効率化範囲を拡大させながら自然言語処理(NLP)技術などを活用して機能の拡張を図り、2022年までに同製品を軸としたOCRソリューションビジネス領域で売上高10億円を目指す考え。

(鳥羽俊一)

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