部品の金型無償保管で下請法違反の勧告相次ぐ、強く求められる製造業の意識変革

部品の金型無償保管で下請法違反の勧告相次ぐ、強く求められる製造業の意識変革

公取委、愛知機械工業と中央発條の2社に実施

公正取引委員会は2月18日、下請け企業に対して部品の金型を無償で保管させていたのは下請法で禁じている「不当な経済上の利益の提供要請」に該当するとして、日産自動車の子会社でエンジンメーカーの愛知機械工業(名古屋市)と、トヨタ自動車系でばね部品などを製造している中央発條の2社に、再発防止策を講じるよう勧告した。

公取委によると、愛知機械工業は遅くとも2023年8月から24年12月までの間、下請け企業5社に対し、部品の発注を終えた後、金型など415個を無償で保管させていた。

 
 

中央発條も、遅くとも23年4月から24年10月までの間、下請け企業24社に対して大量の発注が終わった後も608個の金型を保管させていた。

両社は公取委の指摘を受け、保管させていた金型などの一部を回収・廃棄するとともに、保管費用に相当する額として愛知機械工業は約1926万円、中央発條は約573万円をそれぞれ下請け企業に支払った。

勧告を受け、愛知機械工業は「本勧告を厳粛に受け止め、今後の取引において同様の問題が発生することのないよう、当社取締役会の決議により確認するとともに、金型等の適切な管理に留意した下請法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じ、かかる措置を役員および従業員に周知徹底し、コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努め、今後の取引適正化を図っていきます」とのコメントを発表。

中央発條も「このたびの勧告を厳粛に受け止め、今後の取引において同様の問題が再発することのないように、運用の改善を徹底してまいります」などと説明した談話を公表した。

製造業では生産が終わっても修理などに対応するため金型を長期間保管する必要があり、以前より専門家などからは下請け企業にとって負担になっているとの指摘が出ている。公取委も相次ぎ、下請法違反との勧告をメーカーに出しており、製造終了から一定期間が経てば一律廃棄するよう下請け企業とルールを定めるなど、製造業の意識改革が強く求められている。

(藤原秀行)

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