LNG輸入に支障の恐れと懸念
経済産業省資源エネルギー庁と金融庁は12月27日、ロシアの周辺海域を対象として、戦争で船舶が被害を受けた場合に補償する「船舶戦争保険」の引き受けを2023年1月1日以降も続けるよう、日本損害保険協会を通じ、国内の大手損害保険会社に文書で要請した。
東京海上日動火災保険と損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険の大手損害保険会社3社は、ロシアの領海全域で、船舶戦争保険の引き受けを23年1月1日から停止する方針を固め、船主にも12月23日に通知していた。保険会社の保険金支払いを支援する海外の再保険会社がロシア関係のリスクを引き受けることから手を引いているためだ。
エネ庁と金融庁は、引き受けを停止すれば船主が船舶の運航に慎重となり、海外からのLNG(液化天然ガス)輸入に影響が出る恐れがあると懸念。日本が参加しているロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」からのLNG調達にも支障を来す可能性があるとみて、大手損保会社に対し、海外の再保険会社が引き受けないリスクの一部を負担することなどを求めている。
ただ、大手損保会社が要請を受け入れるかどうかは不透明だ。
(藤原秀行)