メルカリ調査結果、サービスには7割が満足
メルカリは3月26日、物流や飲食、小売の各業界で好きなタイミングに単発の仕事で短時間働く「スキマバイト」をどの程度活用しているのかに関する実態調査結果を公表した。
メルカリは2024年3月、スキマバイトの仕事をアプリで紹介するサービス「メルカリハロ」を開始、今年2月に登録者数が1000万人を超えた。
調査結果によると、人手不足対策としてスキマバイトを利用している3業界の事業者は4割を超え、スキマバイトサービスがないと店舗がうまく回せないという事業者も3割に達した。
スキマバイトサービスについては7割強が満足していると回答。今後についても活用を前向きに考えている事業者が過半を占めていることが浮き彫りとなった。
調査は今年3月4~6日にインターネット経由で、3業界の事業者600人を対象に行った。3業界別の回答割合は基本的に出していない。
働きやすくなる工夫、物流は「マニュアル用意」がトップ
人手不足の度合いを聞いたところ、「非常に深刻」が27.3%、「深刻」が56.0%で合計して8割を突破した。
スキマバイトを導入したきっかけについては(複数回答可)、「繁忙期・閑散期に合わせて雇えるため」が46.5%で最多。「短い時間でも募集することができるため」が43.2%、「突発的な人手不足に対応できるため」が39.2%などとなった。
「スキマバイトサービスがないとお店が回らないため」は31.2%に上った。
人手不足対応として行っていることを質問した結果(複数回答可)、「アルバイト・パートの新規募集」(75.7%)に次いで、「スキマバイトサービスの利用」が45.3%で2番目に多かった。
ここ1年でスキマバイトの活用に変化があったかどうか聞いたところ、「増えた」が19.8%、「やや増えた」が38.0%で、合わせて5割を上回った。
スキマバイトサービスの満足度は、「とても満足」が13.2%、「満足」が65.3%で合計すると7割強に達した。今後については「非常に活用に前向き」が16.8%、「活用に前向き」が53.5%などとなり、活用頻度を増やすことを考えている事業者が多いことをうかがわせた。
スキマバイトの人が働きやすいよう工夫していることを挙げてもらったところ(複数回答可)、物流は「マニュアルを用意している」(43.0%)、飲食と小売は「なじみやすい雰囲気づくりをしている」がそれぞれトップだった。
東京都内で同日、メディア向けに調査結果の説明会見を開いたメルカリの太田麻未執行役員(メルカリハロ事業CEO=最高経営責任者)は「スキマバイトを活用しようとしても、業界それぞれで課題が違う。特に物流は1回の雇用人数が多いので、マニュアル化などでスムーズなオペレーションを組むことで対応している。また、一度来てもらったスタッフにリピートして働いてもらうために、社員からの声かけや挨拶を心掛けている印象がある」と分析した。
ゲストとして人材・採用活用のコンサルティングなどを手掛けている人材研究所の曽和利光社長は「スキマバイトから本採用への流れも増えている。実際の仕事を体験してから長期雇用という流れを作ることで、求職者と企業とのミスマッチを防ぎながら効率的な採用を実現できる」と述べ、企業側のスキマバイトを活用することの利点を解説した。
会見する太田氏と曽和氏
1日当たり雇用するスキマバイトの人数は、物流業界が平均15.7人起用しており、飲食業界の3.4人と比較しても4倍以上の人数を雇用していることが分かった。太田氏は物流現場で雇用人数が多いことについて「広い倉庫などで一斉に作業を行うことから他の業界よりも人数が多くなる傾向にある」との見方を示した。
調査に際し、物流事業者からは「思ったより幅広い年齢層の人が来るので人材採用の間口が広がった」「午前から夕方までなどは主婦の方が多くマッチングされる」など、業界にとっての潜在的な働き手の獲得につながっているとの声が寄せられたという。
また、ヤマト運輸では年末年始やお歳暮シーズンの繁忙期に仕分け業務や軽作業などを1日単位・数時間単位で募集、活用しているという。
撮影に応じる両氏
(安藤照乃、藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用