【独自取材】「物流施設開発はサプライチェーンのグローバル化へ的確に対応」

【独自取材】「物流施設開発はサプライチェーンのグローバル化へ的確に対応」

大和ハウス工業・浦川取締役常務執行役員インタビュー(前編)

大和ハウス工業で物流施設開発の陣頭指揮を執る浦川竜哉取締役常務執行役員(建築事業推進部長)はこのほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

浦川氏は全国で展開している物流施設開発事業は都市部と地方圏の両方で堅調を維持していると強調。デベロッパーとして国内製造業のサプライチェーンのグローバル化などの環境変化へ的確に対応した物流施設を開発していくことに引き続き強い意気込みを見せた。ロジビズ・オンラインでは発言内容を2回に分けて詳報する。


インタビューに応じる浦川氏

全国で“ネットワーク中継物流”構築をサポート

―御社の物流施設開発事業の現状はいかがですか。

「当社の開発は都市圏と地方圏の双方で展開していることが大きな特色ですが、おかげさまで需要は旺盛ですし、堅調に開発を続けられています。例えば、千葉県流山市で昨年3月に完成した『DPL流山Ⅰ』は延べ床面積が14万1315平方メートルと当社最大級のマルチテナント型物流施設ですが、早い段階で100%稼働となりました。常磐道の流山ICに近接し、首都圏向け物流の集約拠点としてだけではなく世界中からの輸出入の基地となるグローバルSCMに対応可能な施設として利用できるのが強みです。現地ではさらに大型施設の建設を計画しています」

「地方圏でも、福島県郡山市で当社としては同県初のマルチテナント型物流施設『DPL郡山』の建設を昨年10月に始めるなど、地域のニーズに合った施設を着々と開発しています。まさに全国の都市部と地方エリアをつなぐ“ネットワーク中継物流”の構築をお手伝いしているような形ですね」

―御社は事業用施設の開発にも積極的ですが、そちらの現状はいかがですか。

「おっしゃる通り、物流施設はもちろん、生産施設やR&D(研究開発)施設、データセンターといった産業用施設にも対応可能ですし、工業団地を開発して製造業を誘致することも得意としています。今お話しした『DPL郡山』は隣接地に5区画の工業団地を設けていますし、最近も福島県須賀川市でJTの工場跡地を再開発し、物流施設と工業団地を併せて整備する計画を発表しました。製造業を呼び込むことで当然物流も必要になってきますから、そこでニーズに合った物流施設を開発する。それまではなかった物流の需要を作り出していくところから事業を展開しているのが他のデベロッパーとの大きな違いと言えるでしょう。地域経済にも貢献していくことができます」

「海外でも工業団地の中に物流施設を建設するなど、積極的に事業拡大を図っています。まさに国内と海外の物流施設、国内と海外の産業施設、その両方を全て展開しています」


福島県須賀川市での再開発のイメージ(同市公表の事業提案書より引用)

産業構造転換といった環境変化を捉え最適の提案

―御社はかねて物流施設などの事業施設を商業施設、賃貸住宅と並ぶ成長戦略の3本柱と説明されていますが、19年もその位置付けは変わりませんか。

「その通りです」

―首都圏では19年も過去最大級の供給量が見込まれています。開発競争が激しい中、経験を有する御社でも用地取得は厳しさを増しているのでは?

「例えば、先ほどもお話した千葉県流山市で進めている大規模開発の地域は、第1種農地を転用する許可を農林水産省の関東農政局にいただきました。第1種農地は良好な営農条件を備えており、原則転用は許可されないのですが、開発前は不耕作地が過半を占めており、有効活用したいとの当社の思いや地元のご要望を認めていただけました。産業構造転換といった市場を取り巻く環境の変化を捉え、さまざまな角度からより広い枠で物流を捉え、ご提案していく。そこはまさに他のデベロッパーとはスタンスが大きく違うところだと自負しています」

―国内外で事業施設を幅広く手掛けていることの背景にあるのが、かねて注目されている製造業などのサプライチェーンのグローバル化だと思います。その傾向は今後も続いていきますか。

「そう思いますね。製造業の海外現地生産比率は既に4割程度まで高まっており、ここから大きく下がることはないでしょう。日本は少子高齢化が進み、1年で人口が30万人くらい減少している。その一方で例えばベトナムは毎年100万人ぐらいずつ増加しています。東南アジアはこれからも人口が増え、経済が発展していくことが見込まれています。そちらに経済の重心が移っていくのはやむを得ない動きだと思います」

「ねじやボルトといった単価が高くないものを日本で製造しても海外勢にかなうわけがありません。そのためには日本にマザー工場を配置し量産は海外で、というように、製造業は付加価値の高いものに集中して取り組んでいく必要がある。当社としても国内外で物流施設の開発と製造業の誘致をバランス良く進めていくことが今後さらに重要となってくるでしょう。需要が大きいから物流施設の開発に集中するというのも1つの戦略だとは思いますが、日本のものづくりの在り方が大きく変わっていく中、そこだけにとどまっていてはお客さまのご要望にお応えしていくのは厳しいのではないか」

「ひと昔前までは物流施設は雇用を生まないという都市伝説のようなものがあり、地方自治体の方々にも物流施設の意義をなかなか理解していただけませんでした。私自身、何度も現地に足を運び、関係者の方々にお話をさせていただきました。長い時間を費やし、最近ようやく誤解が解けてきて、地方自治体の方々も今の物流施設は雇用も税収もきっちり生み出していると感じていただけるようになってきました。非常にありがたいですね」

(本文・藤原秀行、写真・中島祐)

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