政府が検討会の中間取りまとめ受け
政府は6月28日、「過疎地域等におけるドローン物流ビジネスモデル検討会」(座長・根本敏則一橋大名誉教授)が策定した中間取りまとめを公表した。山間部や離島などでドローン(小型無人機)による物流サービスを2019年度中に実用化できるよう、収益を挙げられるビジネスモデル構築の必要性を指摘するとともに、事業の立ち上げや運営に対する公的な補助が必要との認識を示した。
中間取りまとめを受け、国土交通省などの関係省庁はドローン物流支援策の検討を本格化。当面は政府や地方公共団体から具体的にどのような財政補助が可能なのかが焦点となる。
過疎に悩む地方自治体の関係者からは、住民に生活必需品を届ける手段としてのドローンに期待が高まっているほか、物流と併せて災害時の被害状況把握などにも使うことを目指す向きも増えている。各地の実態に合ったビジネスモデルを考案しようとする動きも事業者や地方自治体の間で活発になりそうだ。
今年1月に楽天などが埼玉県秩父市で実施したドローン物流の実証実験
適正なビジネスモデル構築の必要性を強調
中間取りまとめはドローン物流に関し「適切なビジネスモデルが構築されれば(支援措置の提供があればとりわけ)現在の技術開発および環境整備の状況においてもドローンは過疎地域などにおける物流の課題解決の有望な手段となり得る」と強い期待を表明。
同時に、ドローンのオペレーションに携わる人数を極力減らすほか、事業者によるドローンの共同利用や共同輸配送を進めることで運航コストを低減する重要性に言及。
併せて、扱う荷物を多様化したり、物流以外にも観光や農業、害獣駆除などへ活用したりして飛行頻度を増やすほか、新鮮な海産物を山小屋に届けるといった付加価値のある輸送を取り込むことでサービスの収入を増やすことも提唱した。
さらに、国や地方公共団体による初期投資への支援と、運航継続による地域の課題解決に向けた地方公共団体の支援の重要性を強調。具体策として経費への補助を挙げた。
初期段階では、ドローンの機体に加え、離着陸用機器「ドローンポート」や安全運航に不可欠な気象観測機器、ソフトウエアなどが対象となる見込み。実証実験を展開している地方自治体の担当者からも「民間事業者にとってはイニシャルコスト、ランニングソフトの両面が課題になる」との声が挙がっている。今後はドローンなどの必要設備を地方自治体が所有し、事業者に貸与するといった事業形態が検討されていきそうだ。
中間取りまとめの内容を審議した検討会会合
(藤原秀行)