5月24日から51日間、引責で平岡社長らが報酬返上
川崎汽船傘下の物流企業ケイラインロジスティックスは5月13日、2022年に起きた保税蔵置場の担当者による不適切な貨物取り扱いに関し、東京税関から通関業法に基づく行政処分を受けることが決まったと発表した。
5月24日から51日間、千葉・成田と東京、横浜、名古屋、関西、福岡の各通関営業所6カ所で、通関業務を全て停止する旨、監督処分を受けた。
同社によると、22年9月に海外から到着した保税蔵置中の貨物に関し、荷主からの要請を受けて内容を点検した際、貨物の数量が超過していることが分かった。しかし、同社担当者1人が適切に申告せず、超過した貨物を数合わせのため保税蔵置場から無断で持ち出し保管していたという。
社内調査で隠蔽が判明したため、同社が自主的に税関へ報告。税関から24年8月、営業担当者の行為が関税法に抵触すると判断し、通告処分を受けた。併せて同社も関税法の両罰規定に基づき通告処分を受けた。さらに、通関業者として通関業法上の監督処分も受けることが決まった。
同社は責任を取り、平岡亜古社長が月額報酬の30%を3カ月間、不正発生当時の管掌・担当役員が10%を3カ月間、それぞれ自主返上するほか、再発防止に対する会社としての決意表明として役員全員が月額報酬の5~10%を1カ月分、自主返上する。
再発防止のため、保税貨物の取り扱い手順の整備と各業務手順書の見直し、コンプライアンス研修と不正業務の監視体制構築、内部通報制度の再度周知徹底、役員による全社員へのコンプライアンスヒアリングと関税法の再研修などを展開する。
(藤原秀行)