TDB景気動向調査でネガティブな見方示す企業目立つ
帝国データバンク(TDB)が7月3日に発表した景気動向調査(全国)によると、6月の「運輸・倉庫」セクターの景気DIは前月比1.1ポイント低下の45.6と2カ月連続で悪化した。メーカーの輸出量減少、建設関連の荷動き停滞を背景に一般貨物自動車運送業や倉庫業が落ち込んだ。
また米中貿易摩擦の深刻化などを背景とした中国向け海上輸送の停滞により、港湾運送業や内航船舶貸し渡し業、組み立て梱包業も悪化。G20大阪サミット開催に伴う交通規制も影響した。燃料価格の低下は好材料ながらも人件費の高騰は引き続き負担になったと分析している。
足元の景況感に関するヒアリングでは「ドライバー不足、車両不足を顧客が理解し始めており運賃の値上げが容易になっている」(一般貨物自動車運送業)と答えた企業がある一方、「人材確保が厳しく派遣での対応が増えて経費が上昇」(一般貨物自動車運送業)、「連休明けの売り上げの落ち込みが一時的と思えない」(一般貨物自動車運送業)、「大型連休後に依頼が極端に減った」(組み立て梱包業)、「選挙により発注が遅れている」(一般貨物自動車運送業)、「輸入物量が減少」(港湾運送業)、「米中貿易摩擦の影響が出てきている」(運送代理店業)など厳しい見方が目立った。
また景気の先行きについては東京五輪関連および消費税率引き上げ前の駆け込み需要に期待する向きは見られたものの、「米中貿易摩擦の影響が未知数」(運輸施設提供)や「建材関係の配送が多く東京五輪関連の伸びも落ち着く」(一般貨物自動車運送業)と不透明感を訴える声に加えて「米中貿易摩擦や日米貿易交渉による自動車の国内生産台数減少が懸念される」(普通倉庫)、「人材難が解消するめどが立たない」(一般貨物自動車運送業)などネガティブな意見も上がった。
同調査は6月17~30日にかけて10業界・2万3632社を対象にインターネットで実施。9977社から有効回答を得た。全体の景気DIは前月比0.3ポイント減の45.1と7カ月連続で悪化した。
TDBでは「6月の国内景気は輸出停滞、高水準で推移するコスト負担が引き続き下押し圧力となり後退局面入りの可能性がある」とした上で、今後の見通しについて「消費税率引き上げによる消費減退とともに米中貿
易摩擦の先行きも懸念され不透明感が一層強まっている」と指摘。
中国、欧州の経済減速を受けて輸出は減少基調で推移すると見込まれることから、米中貿易摩擦が国内景気に及ぼす影響や米国景気およびFRB(米連邦準備制度理事会)の動向などを含む世界情勢を注視する必要があると言及している。
(鳥羽俊一)
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