運転スキルの補完や事故防止で有用な支援ツールに
架装大手の新明和工業は先ごろ実証実験で成功させた機械式駐車設備における自動運転車の自動駐車に関して、無線通信や位置認識などの要素技術はトラックにも応用・展開できるとの考えを示唆した。
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同社関係者はロジビズ・オンラインの取材に対して「現行の法律ではトラックの機械式駐車設備への入出庫は禁止されているほか、トラックに限らず車両の無線通信による駐車も認められていない」と法的な制約に言及。
その上で群馬大と共同開発した車両を駐車位置まで的確に誘導する「APPS」(Advanced Pilot Parking System)により、車両位置を10ミリメートル単位の精度で認識する特定アルゴリズムは「トラックターミナル、物流施設などで特に高精度かつ難解な操作スキルが求められる駐車シーンで生かせるだろう」と展望する。
運転のプロフェッショナルと呼ばれるトラックドライバーでも接触事故のリスクは存在するだけに、同社の技術がスキル補完や事故防止で有用な支援ツールとなることも想定される。
先の実証実験も含めて現段階ではトラックを対象とした技術開発やマーケティングリサーチは行っていないものの、「技術単体での活用可能性はあると思う。将来的にはニーズがあれば前向きに検討・対応していきたいが、まずは本共同研究で乗用車の機械式駐車設備における自動駐車技術を確立させたい」との方向性を示した。
自動駐車の実用化に向けて複数の自動車メーカーや不動産デベロッパーなどとコンタクトを取っているが、今のところ乗用車と都市開発が検討対象でトラック(物流)は含まれていない。
同社担当者は「難解な駐車をインフラ側の誘導によって容易化。事故発生リスクやドライバー負荷の低減、自動運転車の社会実装に寄与していきたい」と語り、“駐車”を基点としたアプローチで自動運転の普及促進に取り組んでいく意向だ。
(鳥羽俊一)