【独自取材、動画】楽天と西友が国内初、離島へのドローン配送サービスを開始

【独自取材、動画】楽天と西友が国内初、離島へのドローン配送サービスを開始

神奈川・横須賀、1・5キロメートルを片道5分で飛行

楽天と西友は7月5日、神奈川県横須賀市で、国内初となる離島の一般利用者にドローン(小型無人機)で商品を届ける配送サービスを本格的に始めた。楽天が独自に開発してきた大型ドローンを投入し、この日は計4回フライトを実施。島を訪れた観光客らがビールなどを購入、さっそくサービスを体験していた。

サービス開始は7月4日だったが、天候不順のためフライトを見送っており、5日が実質的なスタートとなった。サービスの提供は9月までの約3カ月間の予定。ドローン運航を担う楽天は安全に最大限配慮しつつ、成果や課題を踏まえ、今後さらに配送サービスを拡大していきたい考えだ。

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商品を運んだ楽天の大型ドローン



最大5キログラム搭載、重いビールもお届け

サービスを実施しているのは同市内にある東京湾唯一の無人島・猿島。自然豊かでバーベキューや釣り、海水浴などを楽しめるため、年間約20万人が訪問する人気の観光スポットだ。島内にはスーパーマーケットが存在せず、対岸と島を結ぶフェリーも運航が1時間に1本のため、追加で欲しいものをすぐに調達できないという点に着目、ドローン配送のニーズは確実に見込めると判断した。

楽天と西友はインターネットスーパーで連携するなど、以前より協力関係にある。ドローン物流を普及させていきたい楽天と、スーパーの利便性を高めたい西友の思いが一致、日本初の取り組みに踏み出した。

スマートフォンにダウンロードした楽天の専用ショッピングアプリを介して商品を注文すると、島の対岸にある西友の店舗「リヴィンよこすか店」で在庫からピッキング、ドローンに搭載する。指定された時間に店舗の屋上から島内の着陸場所へ自動飛行、商品を配達するとの流れだ。フライトは片道で距離が約1・5キロメートル、移動時間が約5分程度で、船の半分ほどに短縮可能という。

特にレジャーの来島者が多くなる夏季に絞ってドローン配送を展開することで、より多くの人に利用する機会を提供したいとの思いがある。バーベキューの食材などの需要を見込んでおり、要冷品は専用の保冷バッグを採用するなど、多様な商品を運べるよう配慮している。

購入可能な商品は当初、精肉や野菜、ビール、飲料、救急用品など約400種類。配送料は税込み500円と設定している。最大積載量は商品を入れるボックスを含めて5キログラムだ。飛行は9月までの木、金、土曜日に行う。人の頭上をなるべくかすめないような飛行経路を設定しているが、安全のため雨天や強風など悪天候時はフライトを中止する。


西友店舗の屋上から離陸

将来は階段や坂道多いエリアで買い物困難者の救済も

7月5日は来島した人から注文を受け重量のあるビールを無事運ぶなど、上々の滑り出しとなった。ただ、最終となる4回目のフライトはトラブルが発生したため、注文時間から出発が1時間以上遅れ、今後運航を続けていく上での課題も浮き彫りとなった。

楽天は離島へのドローン配送を積み重ね、フライトへの天候の影響などに関する知見を蓄積することを目指している。

横須賀市は階段や坂道が多いため、楽天は「将来的に地理的な課題を抱える地域における買い物困難者の救済や災害支援への貢献していくことを目指す」と話している。

(藤原秀行)

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