【独自取材、動画】ドローン物流、“本丸”の過疎地で定期配送を早期実現

【独自取材、動画】ドローン物流、“本丸”の過疎地で定期配送を早期実現

楽天で陣頭指揮の向井ジェネラルマネージャーが強い意欲

楽天でドローン(小型無人機)による物流サービスの陣頭指揮を執るドローン・UGV事業部の向井秀明ジェネラルマネージャーは7月5日、神奈川県横須賀市の離島・猿島向けにドローン物流を本格的に始めたのを受け、同市内でロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

向井氏は今回のドローン物流に関し「本当に便利で安心できるサービスをついに実現できた」と意義を強調。9月までのフライトで気象条件が飛行に及ぼす影響などの知見を蓄積し、今後に生かしていきたいとの考えを示した。

さらに過疎地で買い物弱者を解消するため年間を通じて定期的に運航するドローン物流が同社の目指す“本丸”と表明。早期の実現に強い意欲を見せた。

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配送に投入している大型ドローンと撮影に応じる向井氏※クリックで拡大

猿島は奇跡的に好条件がそろった場所

―今日が離島の猿島向けドローン物流の実質的な初日となりましたが、フライトを振り返ってどのように感じましたか。

「本当に便利で、しかも安心できるサービスをついに実現できたことにとても自信を持っています。空から物が届くというのは今までにない体験ですので、自分が注文した物が本当に空からやってきたことに対し、サービスを利用された皆さまが満足そうな表情をされていたのがとても印象的でした」

「ただ、本日最後となった4回目のフライトは何らかの障害が起こり、お客さまから指定いただいた時間帯より大きく遅れてしまいました。その点は残念であり大変申しわけないと思います」

―サービス開始の早い段階でそうした課題が明確になったのは逆にプラスの側面もあるのでは?

「今日に至るまでにもう2か月以上、準備でテストフライトを続けてきました。その段階では今回のようなトラブルが起きず、今日発生したというのが少し不可解ではありますが、今後お客さまがさらに増え、広く一般的に使われるようになった頃に生じなくてよかったとは思います。しっかりと検証して問題点を修正していかなければいけません」

―そもそもなぜ猿島を選んだのでしょうか。

「当社は2016年からいろいろな所でドローン配送を行ってきました。そうした中で、もっと多くの方々に空で物を運ぶ時代が訪れているということを直接ご自身の目で見ていただきたいと感じていました。そのためには都心に近いエリアで安全にドローンを飛ばせる場所があればいいなと考えていたのですが、まずは離島があり、その対岸の海沿いにスーパーマーケットが営業しているという本当に奇跡的な条件が整っていたので、これはぜひとも地元の横須賀市さんや西友さんとともに実現したいと感じ、さまざまな交渉を重ねた結果、今日に至ることができました」

―西友も今回のドローン物流に期待を寄せていますか。

「私が伺っている限りでは、西友さんとしても、よりイノベーションにしっかり力を入れていきたいという思いがあるということで、その観点でもこの活動にはさまざまなサポートを頂戴しています」

―猿島へのドローン物流は今年9月までの予定です。その次の展開は?

「なぜ期間を9月までとしているかといえば、猿島が一番にぎわうシーズンにドローン物流を行うということです。これからも例えば、川を超えないといけなかったり山の高低差が大きかったりする場所で、かなり多くのお客さまがいらっしゃって、物を入手するのに困っているというニーズがあるようでしたら定期的に配送を行いたいと思っています。それが期間限定ではなく通年でニーズが見込めるのであれば当然通年でドローン物流を実施したい」


猿島の着陸ポイントを目指すドローン(楽天提供)


楽天によるドローン物流のイメージ動画

将来は「地域に根差したドローン物流」目指す

―年間を通じてドローン物流ができる場所の見通しはありますか。

「そこが大きなゴールです。当社としては猿島でもお客さまが年間を通じて平均的に多いのであればぜひ1年間ドローン配送を実施したかった。ただどうしても夏のバーベキューシーズンに偏っているため、まずは夏の期間に行わせていただくこととしました。先ほどもお話した通り、今回の猿島のような、まさに“奇跡のロケーション”が他の場所にあり、通年の配送ニーズが存在するようであればぜひ実現したいと思っています」

―今回は都市部ですが、過疎地での展開は?

「本丸はやはりそこだと考えています。今回都市部で、そして離島に向けてドローンを飛行させました。都市部は離島でなければ基本的に希望する物がすぐに手に入るような状況です。今回のフライトで磨いた技術を本当に困っている方々に提供するのが、われわれの中期的なミッションになっていますね」

―年間を通した定期的なドローン配送は19年度中に実現したいですか。

「今回は横須賀市さんや西友さんから相当サポートを頂戴しています。19年度中に実現するのはそれくらい熱い温度感をお持ちの方々にまためぐり合えるかどうかが大切です。ぜひそういう思いのある方々にお声掛けいただき、実現していきたいなと思っています」

―ドローン物流で中長期の目標は何でしょうか。

「まず、今回も含めて当社が手掛けてきたような形で、ドローン物流は本当に実現するんだという機運をしっかりと醸成した上で、本当に困っている方々に向けたサービスを、将来的には当社がその地域に出掛けていくのではなく、その地域の人材を育成しながら地域に根差した形で、地方創生につなげていくとのコンテクストをしっかり持った形で実現する。それが当たり前になり、かつ機体も進歩して都市部も飛べるようになったら、都市部のラストワンマイル配送というところも見据えて取り組んでいくというのが、当社の“ホップ、ステップ、ジャンプ”のロードマップになっています」

―政府の検討会が今年6月に策定したドローン物流を実現するための方策に関する中間取りまとめの中で、事業の立ち上げに際して政府や地方公共団体による公的な補助が重要との見解を示していました。その点についてはどう感じますか。

「ドローン物流はまだまだ黎明期であり、やっと猿島で皆さん初めてお目にかかるくらいの段階だと思います。それはまだあまり使われていないということであり、機体のコストなり運用のコストがまだまだ高いということを意味している。だからこそ、初期投資の期間を何らかの補助などを頂戴しながら乗り切ることで、よりサービスが横展開されていき、機体の出荷数などが増えてコストが下がる。そうすると自然にドローン物流が世界中に広まっていくという流れになると思います。黎明期は企業だけではどうしても乗り切れない可能性がありますから、公的な補助があるのは非常に良い施策だと考えています」


猿島に着陸したドローン(楽天提供)

(藤原秀行)

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