国内不動産事業者で初、運営中物流施設の敷地内に系統用蓄電池設置へ
プロロジスは6月11日、千葉市で運営中の賃貸用物流施設「プロロジスパーク千葉1」の敷地内に、発電所や送電線など電力系統に直接接続する「系統用蓄電池」を設置すると発表した。同社は国内の不動産事業者として初めてと説明している。
物流施設での太陽光発電などエネルギー事業の一環と位置付けており、今年12月に設置工事を始め、工事が完了した後、2026年4月に系統用蓄電池を生かして各電力市場(容量市場、卸電力市場、需給調整市場)に参入する予定。
「プロロジスパーク千葉1」に導入する系統用蓄電池の出力は合計2MW、蓄電容量は6MWhを想定。敷地内駐車場の未利用スペース23台相当分を使う。26年4月の運用開始後は、電力市場より電力を購入して充電し、各市場の状況に応じて電力を供出することを考えている。
電力の需給調整市場は、電力の需給バランスをリアルタイムで調整するための取引市場として、2021年に発足。2024年4月に全面開場となった。大規模停電などの原因となる需給バランスの不一致を回避し、電力の安定供給、価格高騰リスク低減などの電力システム全体の安定化を図るのが狙い。
近年は再生可能エネルギー由来の電力を活用する動きが広がっているのに伴い、天候などの状況によって発電量の変動が大きくなっており、需給調整の必要性が高まっている。国内は大型蓄電池の活用や需給調整市場への参入は発展途上で、まだエネルギー事業者を除けば、他業種による事例は限られている。
参入が進まない要因として、初期投資コストの高さ、運用開始までの手続きの煩雑さ、事業用地の確保後に運用開始までにかかる時間的制約などがあり、需給調整市場が未成熟のため、長期的な市場動向予測の困難さ、価格変動リスクといった先行きの不透明性も懸念されている。
プロロジスは電力市場に参入することで、再エネ拡大推進と、電力システムの安定化をサポートする。
内容 |
プレスリリース |
発表日 |
非化石証書 |
太陽光発電および非化石証書調達による物流施設入居企業の電力実質100%グリーン化支援を開始 |
2023年6月8日 |
非化石証書 |
日本初の自己託送における再エネ証書「I-REC」の活用を開始 |
2024年12月17日 |
自己託送 |
運営中の物流施設間で太陽光発電の自家消費余剰自己託送を開始 |
2024年1月17日 |
自己託送 |
運営中の物流施設間で自家消費余剰自己託送の第二弾を開始 |
2024年8月1日 |
PPA |
初のフィジカルPPAサービス契約を大阪ガスと締結 |
2024年3月29日 |
PPA |
住友生命とバーチャルPPAサービス契約を締結 |
2024年12月4日 |
データセンターへの再エネ給電 |
福岡県小郡市の物流施設敷地に再エネ由来のコンテナ型データセンターを着工 |
2024年12月11日 |
(藤原秀行)