量子コンピューティングと数理最適化で配送ルート自動作成するサービス開発

量子コンピューティングと数理最適化で配送ルート自動作成するサービス開発

エー・スター・クォンタムや伊藤忠テクノソリューションズなど、実証実験で作業時間95%削減

量子コンピューターのソフトウェア開発を手掛けるエー・スター・クォンタム(AQ)、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、家具配達を担うTriValue(さいたま市)の3社は6月12日、量子コンピューティングと数理最適化の技術を活用した配送ルート作成サービス「OptyLiner(オプティライナー)」を共同で開発したと発表した。

TriValueとの実証実験で、荷主の特性や地域情報を熟知した熟練職員が手作業で3時間を費やしていた配送計画の作成時間を約95%削減し、熟練職員と同等以上の配送計画作成を10分以内で完了することができたという。

 
 

3社は早期に実用化して家具、建材、家電など配送先で作業が発生する製品を扱う企業を中心に展開し、作業者のスケジュールまで含めた高度な配送計画の策定を支援していきたい考え。

OptyLinerは車両の積載量や台数、ドライバーの労働時間といった複数の条件を考慮し、移動距離、稼働台数、CO2排出量などを最小化する最適な配送ルートを高速で算出する。

従来のシステムでは、1回の計算に数分から20分以上を要していたルート計算を、実証実験でOptyLinerは5秒で完了した。

3社は計算速度の大幅な向上により、条件の微調整や繰り返しのシミュレーションが容易となり、受注の締め切りを早める必要がなく、空車の抑制にもつながるとみている。

<実証実験の概要>
日時:2025年4月2~5日
場所:TriValue社 さいたまセンター
対象業務:実配送業務における配送計画の策定
実施データ:宅配件数:92件、車両台数:10台

<成果>
配送車両の台数:10台から9台に削減(1台分の効率化)
配送計画の作成時間:熟練担当者が手組で3時間かかっていた作業を10分以内に短縮

 
 


OptyLinerの画面


共同開発の体制

(藤原秀行)※いずれも3社提供

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