災害発生後に交通の流れを調整可能な「マネジメント」組織構築が焦点に

災害発生後に交通の流れを調整可能な「マネジメント」組織構築が焦点に

国交省、有識者会議提言受け道路早期復旧の支援策推進へ

国土交通省は7月9日、「道路の耐災害性強化に向けた有識者会議」(座長・家田仁政策研究大学院大教授)が取りまとめた提言を公表した。

提言は近年大地震や豪雨、豪雪が続発し、今後も首都直下地震や南海トラフ巨大地震が高確率で発生するとみられている状況を踏まえ、提言は災害発生時に道路を早期復旧させられるようにする取り組みの必要性を強調。

具体策として、学識経験者や道路管理者、警察、公共交通事業者、学校関係者、経済界や市民の代表で構成した組織を構築し、人命救助や復旧作業に支障を来さないよう連携して各地の交通の流れを円滑に調整できる「統括的交通マネジメント」の実施体制を法律などで規定するよう提案した。

国交省は提言を踏まえ、2020年度概算要求に関連事業を盛り込むなど、対応を進めていく構え。提言が柱の1つに据えている「統括的交通マネジメント」に関しては、官民が連携して実効性ある枠組みを早期に整備できるかどうかが大きな焦点となりそうだ。


提言案を議論した第4回会合(6月24日開催)

行政以上の権限を有事に付与

提言は「統括的交通マネジメント」について、地域の実情に精通した学識経験者をトップに据えることを基本とし、平時から多くの関係者がオープンに議論できる組織を整備しておくよう提案。

「災害が発生した時には速やかに災害時の実施体制に移行することとし、災害の規模に応じて一定期間、常時に 行政が有する以上の特定の権限を与え、関係者に対して予算措置や必要なデータの共有も含めた協力を義務付ける制度が必要」との見解を示した。

そうした体制を整えた上で、普段から災害を想定した予行演習を繰り返すなどして、災害時の円滑な指揮系統などを確認しておくよう要望した。

提言はこのほか、非常時に救急車や消防車、パトカーなどの緊急車両や物流関係車両がスムーズに通行できるよう、路肩を用いるなどして道路の車線運用を柔軟に変えられる仕組みを導入するとともに、優良事例を表彰する制度を設けて各地に好事例が広がるよう後押しすることを打ち出した。

さらに、道路構造令などを災害に配慮した整備水準へと見直すことを明記。具体例として2車線の道路の路肩を現行から広げたり、救急車といった緊急車両が道路に入退出できるよう専用ルートを設けたりすることなどを盛り込んだ。

他にも、
・沿道リスクアセスメントの実施
=道路に隣接する河川の増水や倒木などがもたらすリスクを事前に土木工学など幅広い関係者と検討
・迅速な復旧に向けたトレーニング強化
=国と地方自治体が連携して道路の復旧計画策定方針などを議論、事前準備を強化
・徒歩避難が困難な場合の避難手段の検討
=津波発生時に徒歩では避難が間に合わない場合、自動車の使用を前提とした避難計画の策定を検討
―などを列挙している。

(藤原秀行)

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