日本郵政・増田社長が株主総会で説明、謝罪
日本郵政の増田寛也社長は6月25日、東京都内で開催した定時株主総会の冒頭、傘下の日本郵便による不適切点呼問題を受け、国土交通省から同日、一般貨物自動車運送事業許可の取り消し処分を受ける予定だと明らかにした。
増田社長は「極めて深刻な事態と受け止めている。株主の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご迷惑、ご心配をお掛けしていることを深くおわび申し上げる」と謝罪した。
その上で「グループの総力を挙げて再発防止策に取り組み、配送に支障が生じ、お客様にご迷惑をお掛けすることがないよう、オペレーションの確保に万全を期し、全力で取り組む」と強調した。
増田社長は同日の定時株主総会と取締役会を経て、社長を退任する予定。
総会で増田社長は、問題が起きた原因について、点呼の重要性への意識欠如、本社などの実態確認意識の欠如、職場マネジメントの問題などがあったと説明。「根絶に向けて全力で取り組んでいるところだ」と語った。
国交省から事業許可取り消し処分を受けると、全国約330の郵便局で輸送に当たっている1t以上の車両約2500台が使えなくなり、5年間は許可の再取得ができないことを受け、増田社長は、競合の運送事業者に業務を委託することを中心にしながら、グループ内でも確実な点呼を大前提として業務を依頼することで、郵便物などの配達に支障を来さないようにする考えをあらためて表明した。
不適切点呼の問題が業績に及ぼす影響については「現在精査中」と述べるにとどめた。
5年後の物流分野のビジョンについて株主から問われたのに対し、日本郵政の美並義人常務執行役は「1t以上のトラックで行っている業務はほぼ全て代替することができる。ご迷惑をお掛けしない体制は現時点でできあがっている」と語った。
その上で「5年後にどのような車両を使いオペレーションするかは、5年後の時点であらためて考えたい。現時点でトラック事業を再開するかどうかはまだ決まっていない。状況を見て考えていきたい」と回答した。
(藤原秀行)