【現地取材・動画】ラピュタロボ、重量検品可能なピッキングアシストAMR新モデルのデモ公開

【現地取材・動画】ラピュタロボ、重量検品可能なピッキングアシストAMR新モデルのデモ公開

作業迅速化、花王が拠点に65台導入決定

ラピュタロボティクスは7月17日、東京都内のオフィスで、ピッキングをアシストするAMR(自律移動型ロボット)「ラピュタPA-AMR」に、重量検品機能を搭載した新モデルのデモンストレーションをメディアに公開した。併せて、新モデルを初めて導入した事例も発表した。

ラピュタは今年1月に協働型ピッキングアシストロボット「ラピュタPA-AMR」への重量検品機能の追加を発表、販売を開始した。




新モデル

新モデルはピッキング作業と同時に商品重量を自動で計測。出荷量が多い現場で、重量によってピッキングした商品が正しいものかどうか瞬時にシステムが判別し検品作業の工程を大幅に削減できるようにしている。1台で最大4つの折り畳みコンテナ(オリコン、2段×2区画)を個別に計量。商品をオリコンへ投入して1秒程度で検品が完了する。

最小計測値は10g、最大計測値は20kgまでそれぞれ対応。小数点以下の計測精度については、各企業の運用方針に応じて設定できる。寸法は幅61.2cm、高さ60mと比較的コンパクトなサイズに抑え、既存の倉庫環境にも導入しやすいよう配慮している。


オリコンボックスは2段×2区画に搭載可能


各段のロードセルで重量を計測する

ラピュタはメーンのターゲットとして、一般的に「FMCG」(Fast Moving Consumer Goods)と呼ばれる商品の回転率が非常に高い日用雑貨、化粧品、医薬品、食品、飲料、ペット用品などを取り扱うメーカーと物流事業者を想定している。




画面でピッキングを指示


間違った数量をオリコンに入れると重量の違いで間違いを検知。修正すれば自動で確認する

メディア向けデモ公開の場でラピュタの須藤圭佑プロダクトマーケティングマネジャーは「少人数かつ短時間での物量処理を可能にする『効率化』と、誰が作業を行っても安定した処理能力を発揮できるようにする『標準化』の両立を目指した自動化ソリューションの開発に注力している」と強調。

尾形達也PA-AMR セールスマネジャーは、ラピュタ独自のAMRを提供することで、業務構成を標準化できるため、例えばスキマバイトサービスや短期アルバイトなどの従業員が加わる現場でもロボットからの指示によってピッキング場所の把握および誤ピックの防止が可能となり、1日当たりの作業量も一定の精度で予測できるようになるとアピールしている。


須藤氏(上)と尾形氏

ラピュタはまた、デモと並行して、花王が物流拠点に今冬、65台を導入する方針を決めたことも公表した。ラピュタのAMRの標準モデルで稼働時間は約10時間と設定しているが、花王の現場では10時間以上稼働する可能性があるため、自動充電ステーションを設置し、ロボットがローテーションを組みながら自分で充電する体制を実現するという。



標準モデルの「ラピュタPA-AMR」を運営済みの企業については、新モデルへのアップグレードも対応。標準モデルの提供価格が約12万円なのに対し、重量検品モデルへのアップグレードは約3万円の追加で可能という。導入台数に応じて価格の調整が入る場合もある。


花王の現場に導入する自動充電ステーション

メディア公開の場でラピュタのピエール・ブシュレー シニアプロダクトマネジャーは「食品や医薬品などを取り扱う顧客から『誤ピックや誤納品をゼロにしたい』との要望が寄せられたことが新モデル開発の契機となった」と説明。誤ピック率低減には画像認識機能や重量検品機能の活用が想定されるが、このうち画像認識は検品品質の安定性に課題がある上、正確な認識を行うには照明条件やオリコンの形状調整など環境整備が求められることから重量検品方式を選択したことを明らかにした。


ブシュレー氏

AMRの振動が計測値にずれを生じさせる場合があるため、振動検知時に揺れを排除する専用ソフトウェアを新たに開発したほか、1秒以内に計量を完了させるためのソフトウェアとハードウェアの高精度連携を実現させたという。

(安藤照乃、藤原秀行)

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