道路陥没対策、トップランクの自治体はどこ?

道路陥没対策、トップランクの自治体はどこ?

格付けジャパン研究機構が政令指定都市と東京23区を独自評価

第三者の立場からさまざまな製品やサービスを分析、認証する「格付けジャパン研究機構」(東京)は7月16日、全国の主要自治体の道路陥没対策がどれほど進んでいるかを独自に評価、ランキングした結果を発表した。

20の政令指定都市と東京23区の中でトップになったのは堺市だった。次いで大阪市、福岡市、京都市などと続いた。23区で首位は大田区、続いて品川区となった。

同機構は調査結果を受け、「自治体によって道路陥没対策の取り組みに大きな差があることが判明した。本調査結果を踏まえ、まだ取り組みの遅れている自治体は一刻も早く道路陥没対策を本格化していただくことを期待する。また精度の低い路面下空洞調査を実施している自治体については、的確な減災対策ができず、公共予算の無駄遣いにもつながることから発注時の評価方法改善を期待する」と話している。今後は評価対象を都道府県レベルに広げることを検討しているという。

「実証方式技術コンペ」の採用を呼び掛け

ランキングは、2016年11月に福岡市の博多駅前で大規模な道路陥没が発生するなど、社会問題化していることを憂慮し、レジリエンスジャパン推進協議会の監修を得ながら調査を進めた。政府が閣議決定した国土強靭化計画でも道路陥没対策が重要項目として位置付けられている。

評価は16~18年度にかけて、調査対象の各都市で、
①道路陥没を事前に防ぐための路面下空洞調査を実施しているかどうか
②近年路面下空洞調査の調査会社の空洞発見の技術力に著しい差があることから、最近導入された「実証方式技術コンペ」(入札やプロポーザルではなく、一部区間の空洞発見率を実際に検証、最も精度の高い調査会社に発注する方式)を実施しているかどうか
③「実証方式技術コンペ」を採用していなくても調査会社の評価方法が適正であるかどうか。また「実証方式技術コンペ」の結果と整合性のある評価方法になっているかどうか
――を基本に、政府の国土強靭化地域計画の中で道路陥没対策の記述がされているかどうかも考慮、ポイント付けを実施した。

その結果、政令指定都市は
第1位 堺市(大阪)31ポイント
第2位 大阪市   30ポイント
同   福岡市   30ポイント
第4位 京都市   27ポイント
同   仙台市   27ポイント
同   広島市   27ポイント
――となった。

一方、東京23区は、
第1位 大田区      26ポイント
第2位 品川区      25ポイント
第3位 世田谷区   22ポイント
第4位 荒川区      17ポイント
同   渋谷区      17ポイント
――との顔ぶれだった。

同機構は、実証方式技術コンペを採用している政令指定都市は18年度で全体のわずか15%程度にとどまり、路面下空洞調査自体を行っていないのも10%程度、東京23区では約30%に達すると指摘。

「東京オリンピック・パラリンピック開催地で震度5以上の地震が発生した場合、こうした地区では深刻な道路陥没事故が起こり、多くの人命に関わる事故の発生、緊急搬送や物流への甚大な影響が想定される」と警鐘を鳴らしている。


同機構によれば道路陥没は小規模なものも含めると17年には年間約1万件起きたという(写真は「都市の危機管理における路面下空洞対策シンポジウム」での講演資料より引用)

(藤原秀行)

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