アスクル「上場企業としての独立性侵害が顕著」とヤフー非難

アスクル「上場企業としての独立性侵害が顕著」とヤフー非難

提携解消の意向をあらためて表明

アスクルは7月17日、4割超を出資し同社筆頭株主を務めているヤフーに対し、資本・業務提携の解消協議を申し入れた経緯を発表した。

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ヤフーが個人向けインターネット通販「LOHACO(ロハコ)」事業の譲渡を求めてきたことなどを踏まえ、「この半年にわたり当社とヤフー社の経営思想の違い、提携契約で合意したイコールパートナーシップ精神の喪失、上場企業としての独立性侵害が顕著になったことを鑑み、もはや当初本提携関係によって実現しようとしていた個人向けECを両社共同で成功させるという目的を達成することができなくなったと考えた」とヤフーの対応を強く非難。7月10日以降、ヤフー側に協議開始を申し入れたと説明した。

一方、ヤフーは7月17日、アスクルから提携解消協議の申し入れがあったのを認めた上で、協議は不要であり提携関係を継続したいとの意向を伝えたことを開示した。

ロハコ事業の収益などをめぐるヤフーとアスクルの意見対立は先鋭化しており、修復は厳しくなっている。同事業の円滑な物流実施にも影響が出る懸念がある。

「社長が直接退任を要求」

アスクルの開示資料によれば、今年1月にヤフーからロハコ事業を同社へ譲渡することの可否と、譲渡が可能な場合の各種条件を検討するよう要請。アスクルは2月、社内に設けている独立委員会と取締役会で審議した結果、譲渡提案は行わない方針を決め、回答した。

6月にはヤフーの川邊健太郎社長がアスクルを訪れ、同社の岩田彰一郎社長に退陣を要求するとともに、8月の同社定時株主総会で岩田氏の取締役再任に反対する意向を表明。これに対し、岩田社長はヤフーに、社内の所定手続きに沿い、自身の進退は指名・報酬委員会の答申を踏まえて取締役会に諮る考えを回答したという。

アスクルは、提携においてヤフーがロハコ事業の独立性を最大限尊重するとともに、アスクルが主体的かつ自主的に最善と考える施策を実行、ヤフーは誠実に協力する旨が明記されている点などに触れた上で、「ヤフー社の一連の行為は提携契約の精神に反するものであり、当社としては本提携関係の解消が最適な解決と考える」と強調。アスクルの独立委も「提携契約の維持・継続に重大な懸念を抱いている」との見解を示している。

(藤原秀行)

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