海運の脱炭素促進図る
川崎重工業とヤンマーパワーソリューション、ジャパンエンジンコーポレーションの3社は10月20日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/次世代船舶の開発」の委託事業の一環として、世界で初めて、実証用の液化水素燃料供給設備を使い、舶用水素エンジンの陸上運転に成功したと発表した。
政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成に向け、海運領域の脱炭素を促進するのが狙い。
経済産業省はカーボンニュートラル達成へNEDOに総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援するグリーン
イノベーション基金事業を創設した。
「舶用水素エンジンおよびMHFS(舶用水素燃料タンクと燃料供給システム)の開発」で川崎重工が製造した3社共用の供給設備は、液化水素を貯蔵してガス化し、各社のエンジンへ高圧または低圧で水素燃料を送り込む。
2ストローク主機関および4ストローク補機関、もしくは電気推進船向けの4ストローク主発電機関といった、実船でのさまざまな用途を想定するとともに異なるポートフォリオを満たしたエンジンの運転を可能にしている。
川崎重工とヤンマーパワーソリューションは中速4ストロークエンジンで、ゼロエミッション化を目指した水素燃焼を実現させ、所定の出力で運転できることを確認したという。
ジャパンエンジンが開発している低速2ストロークエンジンは2026年春の運転開始に向け、着実に開発を進めているという。
表 舶用水素二元燃料エンジンの主要目
川崎重工製 | ヤンマーパワーソリューション製 | ジャパンエンジン製 | |
種類 | 中速 4ストローク エンジン | 中速 4ストローク エンジン | 低速 2ストローク エンジン |
型式 | 8L30KG-HDF | 6EY22ALDF-H | 6UEC35LSGH |
機関回転速度 | 720min-1 | 900min-1 | 最大 167min-1 |
定格出力 | 2600kWm | 800kWm | 最大 5610kW |
液化水素燃料供給設備外観
川崎重工製エンジンの外観
ヤンマーパワーソリューション製エンジンの外観
ジャパンエンジン製エンジンの完成予想図
(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用