実用化へ一歩前進と強調
日機装は10月28日、水素航空機向け液化水素ポンプの2次試作の実液試験に成功したと発表した。
ポンプはモーターとの一体型で、液化水素(-253℃)で満たした極低温の状態(浸漬状態)で運転。1次試作の試験では、世界で初めて浸漬状態の小型電動モーターによる高速回転を実現した設計で、液化水素を送り出せたという。
2次試作の試験は3万rpmの高速回転を維持しながら、吸い込み性能を約2倍に高め、流量を1.2倍、吐出圧力を1.4倍に増加させることができた。同社は水素航空機の実用化に向け、性能アップを達成できたと意義を強調している。

水素航空機向け液化水素ポンプの2次試作(左)と実液試験終了後の試験設備(日機装提供)
水素航空機は稼働時に温室効果ガスが出ないため、航空分野の脱炭素に向けた次世代の航空機として有力視されている。水素は液化すると気体の800分の1まで体積を圧縮できるため、液化水素が燃料に採用されている。
川崎重工業は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」に「水素航空機向けコア技術開発」を提案し、2021年11月に採択され、水素航空機の研究開発を進めている。日機装は川崎重工業から再委託を受け、液化水素ポンプの開発を担当している。
試験は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の能代ロケット実験場(秋田県能代市)で今年6月に実施し、ポンプの分解点検や測定データの詳細な分析などを経て、良好な試験結果を得たことを確認したという。
今回の試験で得た技術的な知見を生かし、さらに改良を進め、最終的に供試体ポンプを製作する。供試体ポンプは2026年3月までに川崎重工業へ納品し、その後の燃料供給システム検証に使う予定。
(藤原秀行)


