ヤフーの批判に真っ向から再反論
アスクルは7月29日、ヤフーがアスクルの定時株主総会を前に岩田彰一郎社長と独立社外取締役3人の再任反対で議決権を行使した理由として、同社の業績や株価の低迷を挙げたことに対し「適切ではない」などと真っ向から再び反論するコメントを発表した。アスクルが8月2日に予定している定時株主総会を前に、ヤフーとアスクルの神経戦が続いている。
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アスクルは、ヤフーが業績の低迷を指摘したことについて、2017年の物流センター火災による打撃から19年5月期は業績をV字回復させることを掲げ、18年5月期に起こった“宅配クライシス”で達成が1年遅れたものの今期(20年5月期)は現時点で順調に進行していると解説。
「岩田社長をはじめ現経営陣が適切に(火災や宅配クライシスに)対処したことでV字回復を目指せる状況にまで早期に回復した事実からすれば、業績回復基調にある今の段階において『低迷する業績への責任』を追及されるのは適切ではない」と反発した。
また、株価については「ヤフーとの資本・業務提携契約を締結した12年5月をスタートラインとして当社とヤ フーの株価を比較すると、当社株はパフォーマンスの点においてヤフー株を大きく上回っている」と強調。ヤフーが岩田社長ら再任反対の議決権行使を発表した後にアスクル株が高値で推移しているとの見方を示していることには「当社が(議決権行使開示より前の)7月3日に発表した20年5月期の業績計画への支持と、現在順調に推移している当社事業計画への期待と捉えている」との見解を表明した。
経産省や東証の名前出しけん制
ヤフーがアスクルの経営の独立性を尊重するとアピールした点に関しては「当社の指名・報酬委員会による答申を踏まえ、当社取締役会で決議された取締役候補の再任を認めることが一番の近道であると考える」と皮肉交じりに説明した。
最後に、7月24日に経済産業省を訪れて、同省が6月に公表した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」の趣旨に関する説明を担当者から聞いたことや、東京証券取引所を7月29日に訪問し、同取引所による「コーポレートガバナンス・コード」に照らしてヤフーの一連の行為に関する問題点などを説明したことに言及。当局の名前を出す形でヤフーをけん制した。
(藤原秀行)