資源保護・循環型社会の実現図る、将来の冷媒供給不足に備えも
東京建物は12月25日、自社で長期保有する施設を対象に、空調設備などで使用する冷媒を更新時に廃棄せず、再生利用を行う方針を策定したと発表した。
国際的なフロン規制強化に伴う供給不足リスクへの対応と、資源保護・循環型社会の実現を図るのが狙い。

空調冷媒の再生利用作業(冷媒回収)の様子
同社はこれまで、主に保有するオフィスビルで、空調機などに使う冷媒の再生利用を進めてきた。今後はアセットの種別を問わず、住宅、ホテル、物流施設など原則として長期保有する施設の全てで回収冷媒の再生利用を推進する。
空調設備などに用いる冷媒は国際的な規制強化により、今後、製造量・輸入量が厳しく制限される見込み。新規製造冷媒だけでは冷媒の供給が不足する可能性があり、空調機の安定稼働や社会インフラ維持の観点から、冷媒の再生利用が不可欠となっているのに対応する。
冷媒の再生利用は資源保護や環境保護にも大きく寄与することから、法令に基づく適正な回収・再生処理を徹底し、品質基準を満たした冷媒を再利用することで、安定した社会インフラの維持に貢献できると見込む。
モントリオール議定書キガリ改正により、今後フロン類の製造・輸入量は段階的に制限される。現在、オフィスビルをはじめとする多くの施設で使用されている空調機の冷媒はR410Aが主流だが、今後はより環境負荷の少ないR32などの新冷媒への切り替えが進む過渡期にある。
R410A搭載機器の冷媒の更新が進む現段階では、新規の製造が難しいR410Aの再生利用が重要な課題となり、今後R32の冷媒を使用する空調機への切り替えが進んだ段階でも、さらに環境負荷の少ない新冷媒への切り替えの必要が生じるなどの理由により、R32の再生冷媒活用も不可欠とみている。

東京建物が長期保有するオフィスビルのうち、空調機で主にフロン冷媒を使用する18棟に関し、空調冷媒の回収時、全量について再生利用した場合、温室効果ガス排出の削減量は約35.04tCO2となる見込み。今後は充填冷媒に再生冷媒を採用することも検討する。
(藤原秀行)※いずれも東京建物提供










