全ト協が事故受け、“抜き打ち”調査など対策を要請
全日本トラック協会は8月7日、大型トレーラーのドライバーがフェリー乗船中に飲酒し、下船後に運転してタクシーに衝突、乗客が死亡する事故が2017年に起きていたのを踏まえ、再発防止へ各都道府県のトラック協会に、運行管理者がフェリーに抜き打ちで乗り込んでドライバーの乗船中の過ごし方を確認するなどの対策を講じるよう求めた。重大事故を起こした運送事業者の間では、フェリー乗船中の飲酒が常態化していたという。
事業用自動車事故調査委員会が調査報告書をまとめたのを受け、国土交通省が8月2日付で全ト協に、報告書の中で触れられている再発防止策を積極的に推進するよう要請していた。対策としては、フェリー乗船中のドライバーが休息している際の過ごし方をあらためて点検することや、検知器の導入を進めることなどを挙げている。
報告書によれば、事故の背景として「フェリー内で焼酎を飲み、下船の際に点呼を受けたりアルコール検知器で検査したりすることもなく運転を開始したため、事故時は著しく注意力、判断力が低下していた」と指摘。「フェリー乗船中の飲酒という慣習は長らく運転者の中でまん延していた。廃止を進言したり、会社に報告したりする者がいないまま継続されてきた」との見方を示した。
事故を起こしたトレーラー(左)と追突されたタクシー(調査報告書より引用)※クリックで拡大
(藤原秀行)