【独自取材】清水建設、AI活用の早期火災検知システムを物流施設に積極展開目指す

【独自取材】清水建設、AI活用の早期火災検知システムを物流施設に積極展開目指す

自社開発分に加え、工事請負案件などへの導入も働き掛けへ

清水建設は、AI(人工知能)活用の早期火災検知システムを物流施設へ積極的に展開していくことを目指している。近年物流施設で大規模な火災が相次いで起きているのを踏まえ、確実な初期対応を後押しできる機能を独自に開発。法定の自動火災報知設備を補助するものとして普及させ、安定した物流の実現に貢献していきたい考えだ。

同社はロジビズ・オンラインの取材に対し、自社で開発している「S・LOGI(エスロジ)」ブランドの物流施設に順次導入して付加価値を向上させるのに加え、将来はデベロッパーから工事を請け負う物流施設などにも導入を働き掛けていくことを想定していると説明した。


埼玉県新座市の「S・LOGI新座West」でメディアに公開して行われた早期火災検知システムのデモンストレーション。煙の量が少ない段階でセンサーが火災と検知した(タイトル横の写真もデモの様子)

火種発生から5~10分程度で察知

清水建設の早期火災検知システムは炎や煙、ガスのセンサーを駆使。物流施設で大量に使われている段ボールやビニールが火種から熱を受けると発生する透明なガスに含まれる化学物質をセンサーが検知し、炎や煙の情報などと合わせてAIが総合的に分析して本格的に燃え始める前に警報を発し、初期消火につなげていくとの流れだ。AIには火災のデータを繰り返し学習させることで誤報を減らし、火災認識の精度を高めていく仕組みだ。

同システムは8月末に完成、9月1日に稼働する埼玉県新座市の「S・LOGI新座West」に初めて導入。隣接して開発中のBTS型施設2棟にも取り入れることを検討している。

開発に携わった同社関東支店設備部の槌井俊典埼玉グループ長は8月22日、「S・LOGI新座West」で行った記者会見で、火種発生からおおむね5~10分程度で火災を察知できると説明。「通常の火災報知設備と併用すれば安全性を格段に高められる」と意義を強調した。

同じく開発を担当してきた同社エンジニアリング事業本部情報ソリューション事業部の藤村広二グループ長は、研究設備に加えてS・LOGI新座Westの中でも実験を繰り返してきたことを明らかにし、「自社開発だからこそ自前の施設でより実地に近い条件でトライできたのはゼネコンの強みであり、システムの強みでもある」と語った。

今後はデータを整備し、消防防災製品として公的機関から推奨を得ることなどを視野に入れているという。同社投資開発本部の渡邊哲郎プロジェクト推進一部長は会見後、ロジビズ・オンラインの取材に対し「そうすることで早期火災検知システム導入が最終的にテナント企業の方々にとって火災保険料の値下げにつなげられる」と指摘。火災のリスク低減に加えて費用面でもテナント企業にメリットをもたらすことに強い意欲を見せた。

(藤原秀行)

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