【現地取材】未利用食品を安価でひとり親世帯などに販売・配送、ロス削減と子育て支援両立へ

【現地取材】未利用食品を安価でひとり親世帯などに販売・配送、ロス削減と子育て支援両立へ

国分とネッスーがコンソーシアム設立発表、メーカーも参加

国分グループ本社と子育て支援事業などを手掛けるスタートアップのネッスー(東京都世田谷区代沢)は6月10日、東京都内で記者会見し、両社が発起人となった「未利用食品の活用推進コンソーシアム」の設立趣旨や今後の活動方針を説明した。

コンソーシアムは5月に発足。賞味期限内だが納品期限を超過しているため出荷できない商品などの未利用食品を、児童扶養手当受給世帯や子供支援団体などに安価で販売・配送し、食品ロスの削減と子育て支援の両立を図る。



国分グループ本社が代表委員企業、ネッスーが事務局、味の素とカゴメ、Umios(ウミオス、旧マルハニチロ)が正会員企業代表をそれぞれ務めている。当初はこの3社を含む食品メーカー8社が名を連ねており、他にも参加を呼び掛ける。


会見に参加した(左から)カゴメの伊藤幸之助執行役員、味の素の赤堀誠一執行理事、国分グループ本社の品田文隆取締役常務執行役員、ネッスーの木戸優起社長、Umiosの佐藤雄介サステナビリティ戦略部長

会見ではネッスーの木戸優起社長が、NPOや環境省の調査資料などを基に、生活の困窮に瀕するひとり親世帯が物価高騰下で急増していることや、そうした保護者たちの多くが自分の食事量・回数を減らして対処していること、食の確保に悩む世帯が増えている一方で未利用食品が年間231万tと大量に発生していることなどを紹介。

そうした世帯に未利用食品を提供する支援活動の多くが、寄付や助成金、ボランティアに支えられた無償支援となっており、物流費や業務負担もあって持続性が課題となっている事情も解説した。

窮状を打開するために立ち上げたコンソーシアムは、未利用食品をディスカウント販売することで、支援対象となる世帯だけでなく、食品関連企業や物流企業も含めた全体が経済的なメリットを受けられる仕組みを目指している。

木戸社長は「有償で提供し、受益者負担で運用することで(活動の)」持続可能性を高める」と狙いを強調した。




会見するネッスーの木戸社長

コンソーシアムに参加する食品メーカーなどは専用のシステム「ロスプラ」に出品情報を登録し、国分グループを介してネッスーが購入する。その上で、ネッスーは会員制ECサイトを立ち上げ、支援対象となる子育て世帯やこども食堂などの支援団体に、正規価格から20~30%割り引いて販売する。

未利用食品は国分グループの物流ネットワークを活用し、通常商品の納品便などに混載してメーカーから物流センターに集荷・保存する。ECサイトから受注したものは宅配便などを利用して届ける。


活動の概要(ネッスー提供)

会見に同席した国分グループ本社の品田文隆取締役常務執行役員は、食品関連企業で発生した未利用食品を、食品を必要とするひとり親世帯や子供支援団体などに提供することが難しかった原因として、物流費などのコストや業務負担に加え、信頼できる寄贈先の情報が確保しづらいといった壁が存在していたことを列挙。

「メーカーと消費者の中間に立ち、全国に物流網を持つ卸売業だからこそ課題を乗り越えることができる」とコンソーシアムを設立した動機を述べた。




会見する国分グループ本社の品田取締役

コンソーシアムは9月にひとり親世帯限定の未利用食品ECサイトを開設する。10月1日~11月30日の間、実証実験として東京都内や福岡県の一部で、児童扶養手当受給世帯へ先行販売する。マイナンバーカードをかざすと受給世帯か否かを自動で判定するスマートフォン用アプリも開発し、支援対象者に未利用食品が確実に届くよう配慮する。

2026年度は参画企業20社で、1200世帯への提供を計画している。27年度には50社・2500世帯、28年度は200社・8千世帯まで広げていきたい考えだ。

当初はレトルト食品、飲料、調味料などを扱い、流通ネットワークの構築進捗度合いをにらみながら冷凍食品を加えることも構想している。冷蔵食品は消費期限が近いことから、当面は扱わない見通し。

ネッスーが自社の収益事業として展開する。利益が出るよう計画を立てているが、赤字リスクも同社が負うという。

記者会見では味の素の赤堀誠一執行理事、カゴメの伊藤幸之助執行役員、Umiosの佐藤雄介サステナビリティ戦略部部長も登壇。食品メーカーとしてコンソーシアムの活動意義に賛同し、支援していく決意を述べた。

(石原達也)

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