【現地取材・独自】初の「物流DX展」、サプライチェーン全体の最適化支援ソリューションが集結

【現地取材・独自】初の「物流DX展」、サプライチェーン全体の最適化支援ソリューションが集結

40社が出展、荷待ち・荷役時間の短縮や積載効率向上の要求を反映

RX Japanが主催する製造業向け展示会「ものづくりワールド」が7月1~3日の3日間、東京都江東区有明の東京ビッグサイトで開催された。今年は設計・開発や製造工程のソリューションに加え、初めて物流DXに関する先進技術などを集めた「物流DX展」を実施した。

「物流業の人手不足対策、生産性向上をDXで解決!」をテーマに掲げ、約40社が配送や倉庫運営、貿易関連業務、労務などの管理を担うシステムを多数お披露目した。自動化・省人化に関心を持つ物流業界関係者らの注目を集めた。



政府が改正物流効率化法を4月1日に全面施行するなど、物流の持続可能性を高めるため、荷主企業と物流事業者の双方に荷待ち・荷役時間の短縮や積載効率改善を強く求めている現状を反映し、サプライチェーン全体の稼働状況とボトルネックを把握できるシステムなどが数多く見られた。


来場者が詰めかけた会場の様子

ギークプラスは2月に発売した荷主向けのSCM管理支援システム「skylaa」(スカイラー)を出展。出荷実績と商品のマスターデータを基に、統計モデルとAIモデルを組み合わせて需要予測を行う。さらに、需要予測の数値に営業の読みを重ね合わせて販売計画を立案し、在庫計画、生産・輸配送スケジュールの管理まで計画業務をワンストップで完了できるようにしている。

料金は月額数十万円からと、中小企業でも手が届く水準に設定、導入のハードルを下げている。条件にもよるが、導入の申し込みから使用開始まで2カ月程度で十分こぎ着けられるという。

担当者は「需要予測というと精度にこだわりがちだが、最初から精度を追求してもあまり意味がない。まずは予測を立てて予実管理のサイクルを回していくことが重要。当社製品は価格的にも導入ハードルが低く、多くの企業にその端緒を開いてもらえると思う」と自信を見せた。


ギークプラスのブース



両備システムズはサプライチェーン全体を総合的に最適化できるシステムを公表。物流領域では「R-LOGIシリーズ」などを生かすことで、バース管理による荷待ち・荷役業務の実態可視化が可能と強調している。

荷主企業の「出荷計画」をベースに車両予約、入退場管理、荷役進捗までを幅広く可視化できる。可視化できる点が特徴。荷待ち時間や荷役時間の削減に加え、ガバナンス強化にもつながるという。グループ会社の両備トランスポートにおける実運用モデルも紹介している。

現場の管理を効率化するソリューションも目立った。セイノー情報サービスはWMS(倉庫管理システム)と連携して稼働するAIエージェントを紹介。作業進捗を確認し、遅延が発生しそうな場合にアラートを出したり、人員の再配置を提案したりするなど、状況の考察から行動の提案、実行支援まで対応する。緊急出荷の可否を判断し、実行支援を行うなど、幅広い場面で人頼みの管理からの脱却が期待できるという。2027年にまず同社のWMSユーザー向けに提供を始める予定。


セイノー情報サービスのブース

丸紅とパナソニックホールディングスが共同で2023年に設立した商用EV(電気自動車)の管理を包括的に手掛けるEVolity(イーヴォリティ)は新たな車両管理システムを紹介。EV、エンジン車を問わず、国内で普及している車両であればどのメーカーのどの車種でもほぼ対応できるのが強みだ。電池や燃料の残量の把握から動態管理、日報の自動作成など多様な機能を備え、社内のフリートマネジメントを包括的に行える。

担当者は「一般的に見られるシガーソケットからGPSや加速度センサーの情報を取得する方式ではなく、車載システムに直接接続するため、内部の電圧やガソリンの噴射時間など、多くの情報を得ることができる。EV電池の製造を手掛けるパナソニックグループの技術を活かし、電池残量だけでなく電池の劣化状況も予測が可能。EVは中古で販売する時に電池の劣化が問題となりやすい。中古車両の売り時の見極めにも貢献する」とアピールした。



Hacobuは2月にリリースしたAI-OCR(AIを活用した文字読み取り)サービス「MOVO Adapter」(ムーヴォ・アダプター)など、輸配送支援のサービスを出展。ファクスや紙で届いた帳票のPDFデータや画像を読み込み、既存の基幹システムや物流システムに取り込める形でデータ化。帳票からシステムへの転記の手間を解消する。

帳票の様式を問わず、事前の学習なしでデータ化できるのが特徴で、手書きの修正や注釈などもAIが内容を判断してデータに落とし込む。担当者は「お客さまの現場でホワイトボードに手書きしたメモを撮影してテストしたことがあるが、それでもほぼ正確にデータ化することができた」と性能をPRした。


Hacobuのブース

ナビタイムジャパンは6月にリニューアルした動態管理ソリューションを披露。配車計画から動態管理、軒先情報の共有などのドライバー支援まで、輸配送における一連の業務をワンストップでサポートする。ナビゲーションの技術を生かし、車格に合わせた精度の高い計画を立てられるようにしているほか、BtoC事業で得た個人ユーザーの膨大な走行データを基にした渋滞予測なども強みにしている。


ナビタイムジャパンのブース

自動化機器でもベンダーなどがしのぎを削っていた。トーヨーカネツは22年に販売店契約を結んだイタリアのメーカーModula S.P.A製の垂直保管システムを公開した。幅1500~4100mm(モデルにより異なる)の保管トレイを自由に仕切り、長尺物からタイヤのような大型製品、ねじのような小物まで幅広く収納することが可能。

指定した棚をリフトでピッキング用間口へ搬送する「リフト式」のため、棚全体を回転させる「ロータリー式」と比べて偏荷重に強く、トレイ出庫の時間が短いのがメリット。トレイ1個の耐荷重も最大990kgと一般的なロータリー式保管システムの2倍以上を備えている。収納物の高さに合わせて段の間隔を自動調整するため、内部のスペースを無駄なく使えるのも特徴だ。


トーヨーカネツが公開した垂直保管システム

中国系のPudu Robotics(プードゥ・ロボティクス)は自動搬送ロボットと清掃ロボットの新製品をお披露目した。日本で1月に販売を開始した最大積載重量600kgの搬送ロボット「PUDU T600シリーズ」は可動式の荷台で、荷物を載せるだけでなく棚を持ち上げて運ぶことができる。ラインテープやQRコードの設置が不要で、最初に庫内を押して回ることでセンサーが周囲の環境をスキャンし、自動でマップを作成。庫内の棚などのロケーション変更にも柔軟に対応できるようにしている。一度マップを作ってしまえば、タッチパネルで目的地を選ぶだけで自動走行する。人に追従して移動する機能も持たせている。

一方、6月に出荷を始めた床洗浄ロボット「PUDU BG1シリーズ」は、一度の清掃でごみの吸引と床洗浄を同時に行う。ブラシは伸縮性で、大型ロボットでは難しかった壁の際まで清掃できるよう工夫している。洗浄で汚れた水を自動で交換する機能も備える。


PUDUの自動搬送ロボット(上)と床洗浄ロボット

脱炭素支援でもさまざまな技術やソリューションが登場した。アイ・グリッド・ソリューションズは、初期投資なしで施設内に太陽光発電設備を導入する「オンサイトPPA」事業を手掛けており、会場でも脱炭素の手法と成果を詳細に説明。AIを活用したエネルギーマネジメント技術により、余剰電力を蓄電池に貯めて発電量が少ない時間帯に供給し、再生可能エネルギーによる自給率を最大化したり、施設間で融通し合ったりするなどのGXソリューションを紹介した。


アイ・グリッド・ソリューションズのブース

会場では企業関係者らがサプライチェーン全体の効率化に向けた方策などを情報発信するセミナーも多数開催。このうち、輸出入業務システムを手掛けるバイナル(名古屋市)のセミナーには、アナウンサーの唐橋ユミ氏がゲストとして登壇。同社営業部の伊藤正則部長との対談を通じ、国際物流におけるDXの必要性を訴えた。

伊藤氏は20年の新型コロナウイルス禍や22年のロシアによるウクライナ侵略に続き、現在は中東情勢緊迫化などで国際物流の不確実性が常態化していると指摘。「入港日が予定通りにいかないのはもはや当たり前で、コロナ以前はある程度読めていたリードタイムが現在は読めない」と語り、現場には変化へ対応する速度と柔軟性が求められていると強調した。

そのために必要な具体的アプローチとして、①スピーディーな情報把握のためのデータの一元管理②企業間のリアルタイムの情報共有③生成AIを活用したデータ入力の自動化などの業務効率化――の3点を提示。自社システムを通じたそれぞれのポイントの実現手法を精緻にアドバイスし、来場者の関心を集めていた。


バイナルのセミナーに登壇した唐橋氏と伊藤部長

(川本真希、藤原秀行)

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