【独自】清水建設が建設・維持管理コストの抑制可能な冷蔵倉庫新工法を実用化

【独自】清水建設が建設・維持管理コストの抑制可能な冷蔵倉庫新工法を実用化

千葉・市川の自社開発中物件に初適用、従来型から空調負荷年間250万円抑制見込む

清水建設は、従来よりも建設と維持管理の両面でコストを抑制できることが見込まれる冷蔵倉庫の新工法を開発した。庫内の気密性や断熱性を保ちながら商品を保管できるスペースを十分確保した上で、建物の高さなどを抑えられるのが特徴。

このほど千葉県市川市で着工した、自社で開発している賃貸物流施設「(仮称)S・LOGI(エスロジ)市川Ⅱ期計画」に初めて新工法を適用。2028年2月の竣工を目指している。



清水建設は新工法で商品の保管空間を効率良く冷やせるようになることなどから、同じ規模の冷蔵倉庫に比べ、空調機器の運営負担を年間250万円程度抑制することが可能などと効果を見積もっている。

中東情勢の緊迫化による原材料価格高騰などのあおりを受け、建設コストがオフィスビルやマンションなど全てのアセットで上昇しており、特に一般のドライ倉庫より設備負担が大きい冷蔵倉庫は建設が難しくなっている。清水建設は自社開発の冷蔵倉庫に加え、工事を外部から受注する冷蔵倉庫にも新工法を積極的に提案していくことを念頭に置いている。


「(仮称)S・LOGI市川2期計画」の竣工イメージ(清水建設提供)

従来の冷蔵倉庫の冷却方法は大別して、建物内の各フロアに断熱パネルで覆った区間を設けて空間を冷やす「パネル式」と、壁や床、天井に断熱材を直接取り付け、建物全体を冷やす「躯体式(築造式)」に分かれる。

パネル式は気密性に優れ、断熱パネルの配置で異なる温度の空間を同一フロアでも設けやすいといったメリットがある一方、断熱パネルと建物自体の壁などの間に施工やメンテナンスの作業空間を確保するため商品保管用スペースが減り、建物の高さを増す必要があることなどがデメリットとなっている。

躯体式は、パネル式よりも建物の高さを増さずに必要な倉庫のスペースを確保できる半面、屋内の場所によって断熱性能にばらつきが出たり、内部の結露で断熱材が劣化したりすることなどが課題だ。



建設コストは上昇基調が続いていることもあり、清水建設は冷蔵倉庫の設計手法を見直し、パネル式と躯体式の両方の利点を組み合わせた効率的な新工法の確立に踏み切った。

新工法で造る冷蔵倉庫は、冷蔵の保管部分の躯体「クールフレーム」と、その周りを包む躯体「ウォームクレーム」で構成。クールフレームを断熱パネルで囲い、冷気を中に閉じ込める。周囲には建物の強度を維持する構造のウォームフレームを配置、クールフレームとウォームフレームは天井部分でつながっているものの、基本的にはそれぞれ独立した構造だ。


新工法のイメージ。クールフレームを、ウォームフレームで囲う二重構造となっている(清水建設提供)

クールフレームという冷蔵の箱を建物の中心に置き、その周りにウォームフレームを配置して建物を地震などから守るという二重構造になっている。既存のパネル工法はフロアごとに断熱パネルで保管エリアを囲っていたが、新工法は複数の階層を一体的に断熱パネルで囲うため、気密性や断熱性の向上などの効果が期待できるという。ウォームフレームでしっかりと地震の揺れから建物を守る仕組みのため、クールフレームの柱サイズを既存の一般的な躯体式の冷蔵倉庫より細くすることも可能。

「(仮称)S・LOGI市川2期計画」は地上4階建て、延床面積は約1万3200㎡を計画している。冷凍(-25℃想定)、冷蔵(5℃想定)、常温の温度帯に対応するほか、庫内の一部エリアは温度の可変対応とすることを想定している。

清水建設が市川の案件をベースに試算した結果、同じ建築面積で従来型のパネル式冷蔵倉庫と比べると、建物の高さを1.7m、断熱パネルの施工面積を4500㎡、空調の負荷を年間250万円超抑えられるとみている。倉庫の面積は300㎡広げられるという。



清水建設投資開発本部の本宮顕プロジェクト推進一部長は「新工法は標準的な工期で竣工させることができるなど、採算性の面で強みがある。一味違った倉庫をご提供することで、お役立ていただけると考えている」と説明している。

(藤原秀行)

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