【独自取材】「アシストスーツ、現場で普通に着てもらえる時代が2~3年で到来も」

【独自取材】「アシストスーツ、現場で普通に着てもらえる時代が2~3年で到来も」

upr・酒田社長が物流現場の負荷軽減需要拡大を確信

パレットレンタルなどを手掛けるユーピーアール(upr)の酒田義矢社長は9月10日、物流現場などで重い物を上げ下ろししたり運んだりする作業の負荷を減らすため装着するアシストスーツの新商品説明会を東京都内で開催した際、ロジビズ・オンラインの取材に応じた。

酒田社長は働き方改革の浸透で現場の負荷を抑制する動きが企業間で広がっていることに触れ、「少なくとも(同社が提供している)動力がないタイプの廉価なアシストスーツはこの2~3年で普通に着てもらえる時代が来てもおかしくない」と指摘。需要は今後も右肩上がりで増大していくとみて、「コアのパレットレンタルに続く第2、第3の事業に育てていきたい」と意気込みを強調した。


説明会であいさつする酒田社長

酒田社長は、「サポートジャケット」のブランド名で展開しているアシストスーツについて、既存品より廉価に設定していることなどが奏功し、シリーズの累計販売数が1万着を超えたことを紹介。厚生労働省の調査で業務上の疾病発生数の約6割を腰痛が占めている点にも触れ、「ニーズはあっても導入をためらわれている方がいらっしゃるので新商品は(1日レンタル1000円といった)使いやすい価格でまずはお試しいただくことを重視している。今は装着すると邪魔だと言われるが、粘り強く腰痛回避といった効果を説明し、使ってもらうことを進めれば効果は体感してもらえると思う」と語った。

その上で、アシストスーツ事業の中長期的な目標として「物流などの現場では日常的にヘルメットで頭を、安全靴で足を守っている。同様にアシストスーツで腰を守ることが当たり前になるような状況をつくっていきたい」との思いを重ねて訴えた。


サポートジャケットの新モデル。モーターを左右の腰付近にそれぞれ取り付け、より重い物の持ち運びなどを支えられるようになっている※クリックで拡大

「社会の要請としてパレット輸送が増えてくる」

中核のレンタルパレットに関しては、年10%程度の事業成長を見込めるため年間50万枚規模でパレットを補充していく意向をあらためて明言。政府と物流事業者、荷主企業が連携してトラックドライバーの長時間労働改善などを図る「ホワイト物流」推進運動の広がりに伴い、手作業の時よりも積み込みや荷下ろしの時間を短縮できるパレットのレンタルニーズが今後も拡大するとの見解を示した。

加えて、「社会の要請としてパレット輸送が増えてくるのは間違いない。循環型社会の実現が今の潮流なので、そういう観点から見てもレンタルパレットの共同利用は非常に親和性が高いし,コスト的にも安く行くので普及してくるだろう」と強調。他の業界にもパレット利用が浸透していくと将来を占った。

2018年に同社がティッシュなどの家庭紙を製造する大手メーカー4社向けに統一サイズのパレットを新たに開発、共同利用に乗り出したことにも言及し、「他にもまだ手積み、手下ろしが残っている業界でパレット利用の動きが広がっていく」と展望した。

(藤原秀行)

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