【独自取材】野村不動産、物流施設の年間開発規模を600億円に拡大

【独自取材】野村不動産、物流施設の年間開発規模を600億円に拡大

「カテゴリーマルチ型」は引き続き積極推進・山田執行役員単独インタビュー(前編)

野村不動産で物流施設開発をリードする山田譲二執行役員はこのほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

山田氏はeコマースなどの施設需要が依然旺盛なのを受け、物流施設用地取得の年間予算を従来の400億円から2019年は600億円まで引き上げていくと説明。首都圏を中心に都市部で好立地の用地を押さえていくことにあらためて意欲をのぞかせた。併せて、同社が新機軸として打ち出している、利用する業種を特定した施設仕様とすることでマルチテナント型とBTS型の双方が持つ強みを備えた「カテゴリーマルチ型」の開発を引き続き推進する姿勢を強調した。

ロジビズ・オンラインではインタビュー内容を2回に分けて紹介する。


インタビューに答える山田執行役員

物件の9割でテナント企業確定

―これまでの物流施設開発の進捗はいかがですか。
「マーケットは比較的堅調に推移しており、当社の事業もうまく稼働していると思います。2020年にはトータルで新たに12万坪分の施設が完成する予定です。当社としても、これまでの事業展開の中でも相当な量を供給しますが、そのスペースの9割方は入居いただけるテナント企業が確定しています。現在調整中なのでまだ詳細はお話しできないのですが、21年以降に関しても複数棟の物件を供給できる予定です」

―用地取得はさらに競争が激しくなっていますが、御社の現況は?
「これまでは年間4、5棟分、金額で400億円程度を開発の目安としてきました。競争が激しいので好調とまでは言い切れませんが、良好な用地を仕入れることができればテナント企業からの需要は非常に厚みがあります。実は今年からもう少し事業量を増やそうと取り組んでいます」
「具体的には年間でもう1、2棟分くらい用地取得を増やしたいと考えており、金額で言えば600億円程度まで予算を引き上げています。おかげさまで累計の開発実績は22年に50万坪の達成が見えてきました。次は100万坪に向けてしっかりとポートフォリオを拡大させていきたいと思います」

―100万坪達成はいつごろを視野に入れていますか。
「当然ながら年によって増減はありますが、今だいたい年間8万坪くらい拡大している感じですので、おそらく6~7年くらいといったところでしょうか」

―それは、堅調な需要がそこまで続くということを想定されているのでしょうか。
「ご存じの通り、郊外で労働力があまり集まらないようなエリアでは物流施設の需要を獲得するのはなかなか難しいですし、立地と賃料などさまざまな要素のバランスを取ることが重要です。そのあたりの見極めが重要であり、その見極めがしっかりできればニーズをきちんと押さえられるのではないでしょうか」

―これから上乗せする50万坪のうち、現状ではどの程度確保できていますか。
「現状で10数万坪は内定しています」

―これだけ競争が激しい中でも用地を一定量押さえられている背景はどこにあると自己分析しますか。
「いろいろな仕入れのチャネルを構築するよう努めています。工場の跡地など企業用地を取りに行くこともありますし、たまたま以前用地をご提供いただいた方がお持ちの資産を売却していく中で縁があり、当社へ継続的に売却いただいたケースもありました。他にも区画整理事業に参画し、時間を掛けながらじっくりと調整してきたものがようやく実を結んだりしています。本当に多様なパターンを組み合わせているからではないでしょうか」


千葉県習志野市で7月に完成した「Landport(ランドポート)東習志野」。楽天が1棟借りすることが確定している

早い段階から関わり潜在的な悩みを解決

―御社が最近注力している独自の取り組みとして、『カテゴリーマルチ型』の物流施設開発を打ち出していることが挙げられます。利用する業種を特定した施設仕様とすることで、マルチテナント型とBTS型の双方が持つ強みを備えたものと定義されています。既に開発実績もありますが、顧客の反応はいかがですか。
「カテゴリーマルチを始めて、テナント企業の皆さま方が非常に多様なニーズをお持ちだということをあらためて知ることができました。一般的なマルチテナント型の施設を企画して、マーケットの中でお客さまを獲得しようという戦略よりは、もう少し手前の段階からお客さまの潜在的な悩みを解決できるよう尽力することにより、用地を仕入れた後の比較的早い段階でテナント企業が個々のカテゴリーマルチ型の開発プロジェクトに興味を持たれることも多いです」
「例えば、お客さまが将来機械化することを見据え、防火区画は全てシャッターを設置してフロアを広く使えるようにしたり、キュービクル(高圧受電設備)対応しておいたりするようなことですね。他にも、飲料など重量物を扱うお客さまには低床対応とし床荷重も一般的な1平方メートル当たり1・5トンからアップしたり、アパレル向けに波動対応としてメザニン(中2階)を取り入れたりしています。将来、別のテナント企業が使われることに備えて施設の汎用性は残しつつも、特定の業種にとって使いやすい環境を整える。これこそがカテゴリーマルチ最大の強みです」

―その狙いは当たっている?
「今のところはそうだと思います」

―カテゴリーマルチの考え方はこれまで千葉県柏市と東京・青梅市の物流施設でそれぞれ開発した施設に適用しています。今後はどの程度のペースでカテゴリーマルチ型の施設を開発していきますか。
「現状では新たに1つの施設でカテゴリーマルチ型とすることが決まっています。その後もエリアの特性などを踏まえ、随時挑戦してきたいですね」

―カテゴリーマルチ型は手間が掛かると思いますが、実際に始めてみて初めて気づいた点はありますか。
「開発計画を策定する中で、お客さまからここはもう少しこうしてほしい、ここまでの機能はいらないといったお話をよくいただきます。新たな取り組みだけにまだまだ完成形は見えていませんし、われわれとしても勉強の過程だと感じているところです。ただ、鍵を握るポイントはやはり将来の自動化への対応ということではないかと思います」
「今はまだ自動化のコストが高いことや、もう少し良いスペックの機器が数年後に出てくるんじゃないかと感じられることなどもあり、物流業界で自動化への対応はまだまだ浸透し始めたばかりというのがわれわれの認識です。物流施設に関しても、カテゴリーマルチ型で当社がご用意したスペックに対し、お客さまが十分使いこなせていただけているかといえば、まだそこまでの状況には至っておりません。弊社も、機械化の部分でもう少し、サポートのサービス対応ができないか検討してします。物流の効率化向上を当社の『Landport(ランドポート)』ブランドの物流施設でぜひ実現していきたいという思いで事業を進める中で、カテゴリーマルチ型にしても形はある程度できてきましたが、深めていくのはまだまだこれからという部分があると思います」


カテゴリーマルチ型として位置付けている千葉県柏市の「Landport柏沼南Ⅱ」(野村不動産提供)

(藤原秀行)

インタビュー後編はコチラ:【独自取材】野村不動産、テナント企業へのマテハン機器レンタルなども検討へ

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