【独自取材】野村不動産、テナント企業へのマテハン機器レンタルなども検討へ

【独自取材】野村不動産、テナント企業へのマテハン機器レンタルなども検討へ

採用活動を積極支援・山田執行役員単独インタビュー(後編)

野村不動産で物流施設開発をリードする山田譲二執行役員と鈴木宏昌物流事業部長はこのほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

山田氏は、物流施設開発の際にテナント企業の機械化・省力化をサポートするため、今後マテハン機器のレンタルなどを検討していく意向を表明。併せて、庫内の最適なオペレーション提案などをにらみ、パートナーの豊田自動織機と連携を深める考えを示した。

鈴木氏は庫内労働力不足に対応するため、同社としても施設を利用する物流事業者らの採用活動支援に乗り出している点に言及。新たな取り組みを考案して引き続き積極的に支えていくことに前向きな姿勢をアピールした。インタビュー内容の後編を紹介する。


取材に応じる山田執行役員

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開発のチャンスはまだまだ見込まれる

―先ほどもお話しいただいた新形態の物流施設『カテゴリーマルチ型』を推進する一方で、従来のような汎用的なマルチテナント型施設は以前より開発を抑えていくということでしょうか。
山田執行役員「そうではありません。当社の『Landport(ランドポート)』ブランド全体のポートフォリオを増やしていく中で、カテゴリーマルチ型をある程度入れつつ、マルチ型も手掛けていきます。バランスを取りながら全体的にうまく事業を拡大していくということです。従来のような汎用的なマルチ型施設を望んでおられるお客さまもたくさんいらっしゃいます」
「それに、あるエリアに同じような施設ばかりを造るよりは、ある程度バラエティーを持たせた方が当社としても営業しやすいですし、お客さまにとってもより利便性が高まります。まずはバランスを取りつつ、カテゴリーマルチ型が全体の2~3割程度のところに収れんしていくのではないでしょうか」

―BTS型に関してはいかがですか。
「当社はもともとBTS型の事例が少ないのですが、われわれはどんな形態の物流施設であっても、50年程度は使い続けていただきたいと考えています。BTS型は仮に賃貸借契約が20年とすると、物流業界では期間が満了してテナント企業が出た後には20年しか経っていなくても建物を取り壊せばいい、とお考えの方もいらっしゃいます。もちろんそうした考え方もあるとは思いますが、当社としてはカテゴリーマルチ型として、あるテナント企業のご要望に沿って一定程度仕様を造り込んでも20年後には別の方にもお貸しできる、との考え方の整理がつくような形にしていきたいですね。カテゴリーマルチ型、マルチ型のいずれも将来テナント企業の入れ替えが起こるということを念頭に置いて、長い間使い続けていただける施設を開発していくのが当社の基本姿勢です」

―事業展開の前提となる経済情勢は、米中貿易摩擦などの影響で国内の景気も先行きに不透明感が漂っています。そうした中でも御社が手掛ける先進的物流施設の需要は引き続き見込まれると思いますか。
「当社の施設をご利用いただいているお客さまも、大きく分けて2種類いらっしゃいます。1つはEC系です。インターネット通販は引き続き成長が見込まれていますし、こちらは物流施設のニーズに関しても純増でまだ行けると思っています」
「もう1つが物流の効率化に向けた既存施設の集約や建て替えといった需要です。やはりトラックドライバーをはじめ人手不足が深刻化していますし、業界の中でさらに物流の効率を上げないと物流そのものがなかなか成り立っていかなくなるとの問題意識も前提としてありますので、2つの面でいずれもまだまだ新たな開発のチャンスはあるのではないかとみています」

―カテゴリーマルチ型はそうした効率化需要の受け皿になりますか。
「施設の中にはそうしたニーズを満たせるものもあるでしょう。例えば飲料業界は物量が多くて重く取り扱いが大変で、物流施設も普通の仕様ではなかなか使いづらいといった悩みをお持ちです。カテゴリーマルチ型がそうした点でもお役に立てることは十分あるでしょう」

―カテゴリーマルチ型に関しては以前、豊田自動織機とパートナーを組み、庫内の最適なオペレーション設計などを提案していく構想を明らかにしていました。その後の連携状況はいかがですか。
「さまざまな自動化機器やフォークリフトなどを通じて物流現場の改善ニーズに応じていこうとされている豊田自動織機さんと、自動化までを含めてより物流施設の使い勝手を良くしていきたいわれわれとでは基本的に同じ方向を向いており、非常に波長が合っています。もちろん現場をどう効率化するかは一義的にテナント企業がお考えになることなので物流施設のオーナーとしてはある程度のスペックのものを供給すればよい、といった考え方もあるでしょうが、当社としてはそこから1歩も2歩も踏み込んで、さらに使いやすさを追求していきたい。まだ具体的な協力の事例は少ないですが、これから深化させていこうと考えています」

関西や中部でも需要はカバー可能

―デベロッパーの中には事業差別化の一環として、物流施設開発からさらに取り組みを多様化し、実際の物流業務効率化のコンサルティングまで対応しているところも出ています。御社もテナント企業の自動化ニーズをより積極的にサポートしていく予定はありますか。
「当社でもハード面に加えソフト面の充実のため、今年から専門のチームを置き、何かしらのサービスを提供できないかどうか検討を続けています。まだ議論の段階であり決まっていることはありませんが、例えば業種ごとの一般的なオペレーションを研究し、当社の施設で必要なマテハン設備などを標準化して実際にお客さまへレンタルすることもあり得ると個人的には思っています。やはり3PL事業者の方々が荷主企業と結ばれる契約の期間がそれほど長くない中では大型の設備投資にはなかなか踏み切りづらいとのお悩みの声を聞きますので、そうした課題もぜひ解決していきたいですね」

―エリア展開についてはどうお考えですか。
「首都圏に関しては国道16号線より内側のエリアがメーンという従来の基本姿勢は変わりません。首都圏以外では、関西(大阪・高槻)と中部(愛知・小牧)で1棟ずつです。いずれもテナント企業から好評いただいているので、それぞれのエリアで数を増やしていかないといけないとは感じています。いろいろなタイプの施設を開発してもまだまだ需要をカバーできると思います。まだ当社が展開できていない九州などでも具体的な案件を進めていきたいですね」

―海外展開の可能性は?
「こちらも今勉強中です。当社の不動産事業では住宅や商業施設、サービスアパートメントなどのアジア展開が始まっていますので、事業のネットワークが構築できてくれば、そうした基盤を生かしながら物流施設についても手掛けていきたい。やはりアジアが有力でしょう」

―物流施設の労働力確保という点では、どういったことに取り組んでいきますか。
鈴木部長「18年から当社のランドポートに関する専用ホームページで、各施設における物流会社さんの求人情報を掲載しており、好評をいただいています。ホームページで実際にどのような職場なのか、どのような仕事をするのか、ご関心のある方がイメージしやすくなるよう工夫しており、応募もしやすくなっています。立地重視という施設開発の基本方針に加えて、常に働きやすい職場実現のために何ができるかアイデアを出し合い、実行していこうと思います」


ランドポート専用ページでの求人採用サイト。各施設の求人情報などを紹介している

(藤原秀行)

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